無線LAN関連の業界団体WLAN Smart Card Consortiumはフランスで現地時間10月21日,無線LAN使用時のユーザー認証にSubscriber Identification Module(SIM)技術を適用するためのスマート・カード仕様の最新版「WLAN-SIM V1.0」を発表した。「GSM方式の携帯電話システムで使われている技術をベースにするため,モバイル事業者は既存のローミング,セキュリティ,バック・オフィス・インフラを利用できる」(同団体)

 WLAN Smart Card ConsortiumでBusiness Committee委員長を務めるDan Cunningham氏は,「WLAN-SIM V1.0により,Wi-Fi対応無線LANアクセスポイントなどの無線LANで,スマート・カードのセキュリティ技術やローミング機能を備えた商用サービス開始の道が開ける」と述べた。

 SIMは,GSM携帯電話機で利用されるユーザー認証技術。SIM対応カードにユーザー情報を格納しておき,携帯電話機に同カードを差し込んで使う。WLAN-SIM V1.0は同技術を無線LANの認証に利用するための仕様で,スマート・カードと機器間のインタフェースを定義する。業界標準のIEEE802.1x規格とVPN用認証プロトコルExtensible Authentication Protocol(EAP)に対応し,無線LAN向けセキュリティ方式Wi-Fi Protected Access(WPA)を補完する形を採る。

 またWLAN Smart Card Consortiumは,次の計画として,「WLAN-SIM Handler」仕様の策定を進めるという。WLAN-SIM Handlerでは,ノート・パソコンや携帯電話機などの複数のプラットフォームにおけるWLAN-SIMカードの利用拡大を図る。

 WLAN-SIM V1.0仕様はWebサイトに掲載している。

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