米PeopleSoftの敵対的買収を図る米OracleがPeopleSoft社株式の公開買付で1株当たりの買い取り金額を26ドルに引き上げたことを受け,PeopleSoft社役員会は,株主に対してOracle社の公開買付に応じないよう勧告することを満場一致で可決した。PeopleSoft社が米国時間2月9日に明らかにしたもの。

 PeopleSoft社は,法律顧問および財務顧問とともに,Oracle社の提案を「慎重に検討した」(PeopleSoft社)が,主に次の理由で今回の決定に至ったとしている。

・変更後の金額は不十分で,PeopleSoft社の真の価値を反映していない。

・PeopleSoft社とOracle社の合併は,米国および欧州当局の調査に直面し,独占禁止法に抵触するとの判断を受ける可能性が高い。

 PeopleSoft社社長兼CEOのCraig Conway氏は,「株主にとってより良い計画がPeopleSoft社にはあると,役員会は確信している」と述べた。また,「Oracle社はあらゆる手を使って,当社に損害を与えようとしている」と非難した。

 なおOracle社は,PeopleSoft社役員会の決定に対してコメントを同日発表した。「PeopleSoft社の孤立した企業としての不透明な将来などを踏まえると,今回の提示額は十分であり,寛大である」(Oracle社広報担当のJim Finn氏)

 ちなみに,PeopleSoft社は3月25日に株主総会を開催し,役員選挙を行う予定である。自社寄りの人材をPeopleSoft社社役員会に送り込みたいOracle社は,役員候補者5人を1月23日に発表した。PeopleSoft社も役員候補者4人を1月30日に擁立。Conway氏は,「(株主にとって今度の株主総会は)PeopleSoft社が推す候補者に投票し,Oracle社の候補者を否認することで,当社の事業を混乱させるOracle社の行為に終止符を打つ好機だ」と述べている。

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[発表資料(PeopleSoft社)]
[発表資料(Oracle社)]