バージニア工科大学(Virginia Polytechnic Institute and State University)が,米Apple Computerのデュアル・プロセサ・パソコン「Power Mac G5」1100台をクラスタ化し,スーパーコンピュータ「Big Mac」(愛称)を構築した。New Century Technology Council(NCTC)が米国時間11月14日に明らかにしたもの。演算能力は9.6テラFLOPSあり,世界スーパーコンピュータ・ランキングで第3位に入った。

 各Power Mac G5は,動作周波数2GHzの64ビット・プロセサPowerPC G5を2個搭載する。Big Mac全体のプロセサ数は2200個となり,「論理的な演算能力は17テラFLOPS」(NCTC)。

 ちなみに世界スーパーコンピュータ・ランキングの第1位は,NECが開発したEarth Simulator(地球シミュレータ)。5000個以上のプロセサを搭載し,実質的な演算能力は35.8テラFLOPS,論理的な性能はそれよりさらに5テラFLOPS高い。ただしBig Macの開発コストが520万ドルであったの対し,地球シミュレータは推定3億5000万ドルかかったという。

 バージニア工科大学では,ナノスケール・電子工学,量子化学,計算機科学,航空力学,分子静力学,計算機音響学,タンパク質の分子モデリングなど,強力な演算能力が必要とされる研究分野でBig Macを活用するとしている。

 なお米メディアの報道(CNET News.com)によると,米国政府は地球シミュレータが世界最高性能であることに危機感を募らせ,スーパーコンピュータ研究プロジェクトを立ち上げるとともに,米IBM,米Cray,米Sun Microsystemsの試作システムに対し資金援助を行っているという(関連記事)。

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