米In-Stat/MDRは米国時間10月6日に,DSL用IC市場に関する調査結果を発表した。DSL用ICの出荷数は,2001年の3810万ポートから,2002年には5000万ポートに増加した。2001年にADSLの導入が期待ほど伸びず,電気通信業界のバブル崩壊などで市場が低迷したことによる反動が,2002年の出荷数増加を招いた。しかし,平均販売価格(ASP)の低下により,売上高は6億9900万ドルから5億9490万ドルに減少した。
「DSL用ICの出荷数は,DSLサービスの成長に大きく左右される。ブロードバンド・コンテンツやサービスへの消費者の需要,サービス・プロバイダの新たな収入源確保,アジアにおける人口の都市集中とプロバイダ間のし烈な競争など,さまざまな要素がDSLサービスの成長をけん引するだろう」(In-Stat/MDR社業界アナリストのSam Lucero氏)。ただし課題はもっぱら米国に集中するという。「米国サービス・プロバイダの財政難や物議を醸している米国の通信規制をはじめ,米国では区間距離がより長いこと,米国ブロードバンド接続サービスでケーブル・モデムが優勢を誇っていること,コンテンツ・プロバイダが非協力的であることなど,問題が多い」(同氏)
その他の主な調査結果は以下の通り。
・2002年のDSL用IC市場では,米GlobespanVirata,米ST Microelectronics,米Centillium,米Texas Instrumentsの上位4ベンダーを合わせた出荷数が,全体の81%を占めた。
・2007年におけるDSL用ICの出荷数は,2002年から倍増し,1億790万ポートに達する。売上高は7億3280万ドルにのぼる見込み。
・2007年までの市場をカテゴリ別でみた場合,ADSLはシェアが縮小し,反対にVDSLはとりわけアジア太平洋地域で大幅に成長する。SHDSLも急速に成長するが,2007年のシェアが10%を超えることはない。
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