米GartnerのDataquestは米国時間11月13日に,「インターネットに接続する米国世帯のうち,広帯域接続を利用する家庭は28%に達した」などとする調査結果を明らかにした。

 調査は2000年2月から2002年6月にかけて,米国の4万5000世帯を対象にアンケートを実施したもの。インターネットの導入と接続方法について尋ね,回答を得た。

 28カ月の調査期間中,広帯域接続利用者は月平均9%の勢いで伸び,約3倍に急増した。また,広帯域接続あるいはダイヤルアップ接続でインターネットを利用する世帯数の増加率は月平均1%だった。

 Dataquest社Worldwide Telecommunications and Networkingグループ担当主任アナリストのMargaret Schoener氏は,「景気減速の悪影響はみられない。また,DSLやケーブル・モデムといった広帯域接続方法は比較的高額だが,それが普及の足かせになっている様子もない」と説明した。また,「地域によってはDSLやケーブル・モデムによる接続サービスが提供されておらず,需要に追いついていないところもある」(同氏)という。

 2000年時点で広帯域接続を行う米国世帯のうち,DSLまたはケーブル・モデムを利用する世帯の割合は70%だったが,2002年6月には88%まで増加した。またISDN接続は,DSLやケーブル・モデムより高額で速度が劣ることから,利用世帯数が激減している。ISDN利用世帯数は2000年2月に広帯域接続世帯の約3分の1を占めていたが,現在はわずか8%である。

 Dataquest社Worldwide Telecommunications and Networkingグループ担当アナリストのAmanda Sabia氏は,「広帯域接続市場では,DSLとケーブル・モデムの間でし烈な競争が続いている。ケーブル・モデムが優性を維持しており,2000年2月の49%から2002年6月の54%へと,シェアを伸ばしている」と述べた。「しかしDSLサービスは,既存地域通信事業者(ILEC)が提供に本腰を入れ始めてから,ケーブル・モデムの2倍の早さでシェアを拡大している。2000年2月時点の19%から2002年6月には34%へと,市場シェアが約2倍に拡大した」(同氏)

 一般家庭による広帯域接続は重要な収益源となるため,今後もケーブル事業者と電気通信事業者による競争が激化する見通しだ。Sabia氏は,「現在,広帯域接続の手段は限定されているため,いったん利用し始めた接続方法を途中で変える家庭ユーザーは少ない。つまり,ケーブル事業者と電気通信事業者のどちらが先に,家庭ユーザーを顧客として取り込むことができるかが競争の軸となる」と説明する。同氏は,「効果的なプロモーションと魅力的な価格体系を提供できるプロバイダが,利用者数を倍増するチャンスをつかむだろう」と予測した。

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