米連邦通信委員会(FCC)が米国時間8月21日に詳細を発表した通信業界の新たな規制「Triennial Review Order」に対して,各方面から賛否両方の意見があがっている。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,FCCが今回発表した報告書には,ベル系地域電話会社に対し,自社が構築する光ファイバ接続などの先進ネットワークを介してサービスを独占的に提供する権利を認める内容が含まれている。

 カリフォルニア州のISP協会California ISP Association(CISPA)は同日,「独立系ISPとその家庭ユーザーや顧客企業に大きな損害をもたらす違憲ともいえる規制だ」(CISPA執行ディレクタのMike Jackman氏)と非難した。「FCCが定めた規制は,『米SBC Communicationsや米VerizonからDSLサービスを購入しないのなら,もう1本電話回線を追加しなさい』と消費者に言ってるようなもの。FCCは,公共政策,市場競争,規制緩和について,改正方針を打ち出すべきだ」(Jackman氏)

 米Qwest Communications International公共政策担当上級バイス・プレジデントのSteve Davis氏は「現在,当報告書に目を通している最中であり,当社の事業や顧客にどのような影響を与えるか分析するには時間が必要だ」としながらも,「FCCは広帯域通信の投資と競争促進に向けた正しい判断をしたようだ」と述べた。ただし,「伝統的電話ネットワークに関する大半の部分では不満が残る。米AT&Tや米MCIが依然として,自社ネットワークを構築するより低いコストで当社のネットワークを使用できる点だ」(Davis氏)と付け加えた。

 Verizon社は「FCCはTriennial Review Orderを裁定するまでに2年を要した。この報告書を読み,理解するには時間がかかる」(Verizon社Public Policy and External Affairs担当上級バイス・プレジデントのTom Tauke氏)と慎重な態度を示した。「世界は急速に変化しており,当規制はすでに時代遅れとなっている可能性がある」(Tauke氏)

 また米DSL.netは,「当社の事業モデルにとってプラスになる」と新規制を歓迎する見解を,8月22日に発表した。

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