米Hewlett-Packard(HP)がLinuxを利用している自社顧客に,米SCO Groupの法的行為に対する免責保証を提供することについて,SCO社が米国時間9月24日にコメントを発表した。

 「HP社の動きは,Linuxを導入している企業が法的なリスクにさらされているという事実を示すものだ。多くのオープン・ソースの指導者らと同様に,深刻な構造上の問題を否定しているが,HP社はLinuxを利用している顧客が著作権や知的財産侵害で裁判沙汰になる可能性があることを認識し,顧客の不安を取り除こうとしている」(SCO社)

 またSCO社は,「大手Linux関連企業の中で唯一,顧客を守るために明確な態度を打ち出した」とHP社を評価し,「米Red Hatや米IBMなども,HP社と同様の策を講じた方がいい。いずれ顧客がそれを要求するようになる」と述べた。

 ちなみに米メディアの報道(InfoWorld)によると,HP社の免責保証の開始日は2003年10月1日。HP社からLinux関連製品を購入した顧客は,SCO社のいかなる法的行為に対しても,HP社の保証を受けられる。契約を結んだ顧客がSCO社に提訴された場合,HP社の弁護士が出廷し,HP社がすべての訴訟費用を負担する。

 なおRed Hat社は,「当社の技術がいかなるSCO社の知的財産をも侵害していないことを証明し,SCO社の不正な詐欺行為に対する責任を追及するため」(Red Hat社),2003年8月にSCO社を提訴した。同時に,オープン・ソースのソフトウエアとコミュニティを支援する基金「Open Source Now Fund」の設立を発表している。Red Hat社は同基金に100万ドルを寄付し,GPLライセンスのもとでソフトウエア開発に取り組んでいる企業や,それらの企業をサポートする非営利団体が裁判に巻き込まれた際の資金を援助する。

 一方SCO社は,「Linuxユーザーが訴訟を回避するため」のラインセンスを用意している。2003年10月15日まで,シングルCPU搭載サーバー1台当たり699ドルのキャンペーン価格で提供する。「同ライセンスを購入すれば,Linuxカーネル2.4および2.5を利用している企業は,知的財産権侵害を問われずに済む」(SCO社)

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