Linuxの普及促進を目指す非営利団体Open Source Development Lab(OSDL)は米国時間7月31日,米SCO GroupのLinux攻撃に対して異議を唱えるポジション・ペーパーを公開した。

 同ポジション・ペーパーは,ソフトウエアの著作権法に詳しいコロンビア大学教授のEben Moglen氏が7月24日にOSDLの会議で発表したもの。OSDLは,「Moglen氏の分析が,SCO社の行為によって不安に陥っているLinuxユーザーやコミュニティの懸念解消に役立つと考え,公開することにした」としている。

 Moglen氏が同ポジション・ペーパーのなかで言及している主な内容は以下の通り。

・SCO社はまだ,エンド・ユーザーに対して訴訟を起こしていない。また,LinuxのコードがSCO社の著作権を侵害した,あるいは機密情報を不正利用したという証拠を公表していない。事実に基づく明白な法的情報が欠けているため,個人ユーザーや企業は適切に応じることができない。

・著作権法は,Linuxを使用している顧客には適用されない。著作権のライセンスを取得していない読者が本や新聞を閲覧するのと同じことだ。著作権法は確かに変更,複製,再販に関して規制しているが,GNU/Linuxなどのソフトウエアの場合,GNU General Public License(GPL)のもとでこれらの行為が認められている。

・SCO社自身がGPLのもとでLinuxの販売を続けている。つまり,ユーザーは自由にLinuxを変更,複製,再販してよいということだ。

 OSDLのCEOを務めるStuart Cohen氏は,「『Linux導入計画を遅らせるつもりはない』というのが,この問題について話し合ったエンド・ユーザーの一致した意見だ」と述べた。「Moglen氏が指摘するとおり,SCO社はLinuxが著作権を侵害しているという明確で公然たる証拠を提出していない。現在のところ,LinuxユーザーはSCO社からライセンスを購入する必要はない」(Cohen氏)

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