米Red Hatは「当社の顧客と世界のLinux事業を守るため」(Red Hat社),米SCO Groupを提訴したことを米国時間8月4日に明らかにした。

 Red Hat社は今回の訴訟の目的について,「Red Hat社の技術がいかなるSCO社の知的財産をも侵害していないことを証明し,SCO社の不正な詐欺行為に対する責任を追及するため」としている。

 Red Hat社顧問のMark Webbink氏は,「根拠のない声明で当社を攻撃し,オープン・ソースのソフトウエア開発を汚すSCO社の行動を止めるために訴訟を起こした」と説明した。

 またRed Hat社は,オープン・ソースのソフトウエアとコミュニティを支援する基金「Open Source Now Fund」の設立を発表した。GPLライセンスのもとでソフトウエア開発に取り組んでいる企業や,それらの企業をサポートする非営利団体が裁判に巻き込まれた際の資金を援助する。Red Hat社は同基金に100万ドルを寄付する予定である。

 SCO社は今年に入って,同社が所有するUNIXの知的所有権から積極的にライセンス料を徴収する「SCOsource」戦略を展開している。2003年3月に,「米IBMがLinux事業を推進するためにUNIXソフトウエアのライセンスを不正利用した」として,IBM社を提訴した。また「Linuxの使用に関する法的責任が商用ユーザーにまで及ぶ可能性がある」との警告をLinuxベンダーやユーザー各社に送付した。

 7月21日には,「UNIX System V」ソース・コードに関する米国著作権登録の承認を受けたことを発表するとともに,UnixWareライセンス・プランを明らかにした。同ライセンスを購入する企業に対して「Linux利用の合法性を認める」(SCO社)というもの。同ライセンスを購入しない企業に対しては,訴訟の可能性を示唆している。

 一連のSCO社の行為については,批判の声も高まっている。例えば,Linuxの普及促進を目指す非営利団体Open Source Development Lab(OSDL)は7月31日に,SCO社に異議を唱えるポジション・ペーパーを公開した。

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