米IDCが米国時間9月17日に,企業向けシン・クライアント市場に関する調査結果を発表した。それによると,全世界の出荷台数は2003年の150万台から年平均22.8%で増加し,2007年には340万台に達するという。

 企業向けシン・クライアントとは,ハード・ディスク装置などローカル・ストレージを持たず,ネットワークに接続して業務に使用する機器を指す。

 IDCデバイス技術担当調査ディレクタのBob O'Donnell氏は,「認知度が低いことに加え,従来のパソコン環境から移行する際の物理的および心理的な負担が,企業向けシン・クライアントの普及を妨げている」と説明する。「こうした障害は目新しいものではなく,多くの企業が,シン・クライアントの計画,導入,設定,移行,利用を簡単に実行する手段を編み出そうとしている」(同氏)

 同社では,「シン・クライアントの話題が徐々に増え,今後5年で耳慣れた存在になる」とみる。さらに同社は,「ITプロフェッショナルたちは,シン・クライアント環境の持つセキュリティ,集中制御と管理,投資回収率(ROI)といった特徴を理解し,評価し始めている」と指摘する。

 そのほかの主な調査結果は以下の通り。

・Webサービス形式のアプリケーションが,徐々にではあるが有望視されるようになる。

・デスクトップ・パソコンからノート・パソコンへの移行が,企業におけるシン・クライアント普及の妨げになる可能性がある。

・2007年頃に,西欧がシン・クライアントの出荷台数で米国を上回る。

・Windowsベースのスタンドアロンのパソコンが主流である状況は変化しないものの,液晶ディスプレイと無線機能を備え,Windows以外のOSで動作するシン・クライアントへの移行が進む。

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