ソフトウエアの不正コピーを監視する業界団体米Business Software Alliance(BSA)は米国時間9月16日,米国の大学機関におけるソフトウエアの不正コピーについて調査した結果を発表した。それによると,米国の学生間でPtoP(ピア・ツー・ピア)技術の利用が広まっており,大学がソフトウエアの不正コピーを厳しく取り締まらない限り,不正コピーが急速に進む危険があるという。
調査は,BSAがフランスの市場調査会社Ipsosに依頼して行ったもの。米国の総合大学および単科大学の学生1000人と,大学の教育関係者300人を対象にアンケートを実施した。
学生の約3分の2は,「機会があれば,ソフトウエアのコピーをダウンロードする」と回答した。また,大学関係者の多くはソフトウエアの不正コピーに頭を悩ませていることがわかった。
一方で,「教授はソフトウエアの不正コピーを積極的に防ごうとしていない」とする学生が大半を占めた。在籍する大学のソフトウエア利用に関するポリシーを知っている学生はわずか28%だった。
BSA議長兼CEOのRobert Holleyman氏は,「大学は,ソフトウエアの不正コピーに関して,学生をきちんと指導していない」と述べ,次のように警告した。「PtoP技術の急速な進歩は喜ばしいが,その誤用は懸案事項だ。このまま,PtoP技術の普及が進み,ソフトウエアの不正コピーに対する学生と大学関係者の姿勢に変化がなければ,大学機関におけるソフトウエアの不正利用は深刻化するだろう」(同氏)
その他の主な調査結果は次の通り。
・ソフトウエアをダウンロードしたことがある学生は23%。そのうち,ソフトウエアのダウンロード料金を,「必ず支払う」もしくは「ほとんどの場合において支払う」学生は32%
・音楽をダウンロードしたことがある学生は69%。そのうち,音楽のダウンロード料金を,「必ず支払う」もしくは「ほとんどの場合において支払う」学生の合計は8%
・映画をダウンロードしたことがある学生は26%。そのうち,映画のダウンロード料金を,「必ず支払う」もしくは「ほとんどの場合において支払う」学生の合計はわずか4%
・研究と開発を推進するために,ソフトウエア開発者の知的財産権を認め,それを保護すべきだとする学生は93%
・コスト削減のために,「ソフトウエアを共有/交換しても構わない」とする教育関係者は40%以上
「PtoP技術を利用して,商用ソフトウエアをダウンロードしている学生が5分の2にのぼっており,明らかな増加傾向にある。教育機関は,知的財産の盗用が違法行為であることを指導すべきだ。それを怠れば,学生は不正コピーを行うというモラルの欠如を,実社会にも持ち込むようになるだろう」(Holleyman氏)
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