米IBMが米SCO Groupを反訴したことについて,SCO社が米国時間8月7日にコメントを発表した。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,IBM社は8月6日にSCO社を提訴。提出した書類で「SCO社はGeneral Public License(GPL)のもとで自社製Linuxディストリビューションを販売したことから,Linuxにおける所有権は主張できないはずだ」と指摘している。また,「SCO社のソフトウエアが4件のIBM社の特許を侵害しているほか,IBM社製UNIX『AIX』の権利失効を発言することでIBM社の事業を妨害した」(IBM社)として,損害賠償と,ソフトウエア出荷の差し止め命令を求めている。

 ちなみに8月4日には,米Red Hatが「当社の技術がいかなるSCO社の知的財産をも侵害していないことを証明し,SCO社の不正な詐欺行為に対する責任を追及するため」(Red Hat社)SCO社を提訴したことを明らかにしている。

 SCO社は今回のIBM社の反訴を「Linux事業モデルの欠陥から注意をそらせるための行為だ。Red Hat社と同様に根拠のない申し立てを並べている」と非難,「もしIBM社がLinuxの真の問題に真剣に取り組んでいるのなら,顧客に完全補償を提供し,GPLから手を引くべきだ」と述べている。

 「議論が高まるにつれ,中核にある問題がSCO社やRed Hat社,IBM社さえも超越していることが明らかになりつつある。これは,インターネット時代の知的財産の価値を問うものだ」(SCO社)

 SCO社は3月に,「IBM社がLinux事業を推進するためにUNIXソフトウエアのライセンスを不正利用した」として,IBM社を提訴し,「Linuxの使用に関する法的責任が商用ユーザーにまで及ぶ可能性がある」との警告をLinuxベンダーやユーザー各社に送付した。7月21日にはLinuxユーザーに向けたライセンス・プランを発表。同ライセンスを購入する企業に対して「Linux利用の合法性を認める」(SCO社)というもの。同ライセンスを購入しない企業に対しては,訴訟の可能性を示唆している。

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