米SCO Groupは米国時間8月5日に,Linuxを導入している企業に向けた知的財産ライセンス「SCO Intellectual Property License for Linux」の価格を明らかにした。2003年10月15日まで,シングルCPU搭載サーバー1台当たり699ドルのキャンペーン価格で提供する。

 SCO Intellectual Property License for Linuxは,SCO社が「Linuxに流用されている」とする同社の知的財産をランタイム・バイナリ形式で利用することを許可するもの。SCO社は7月21日に同ライセンスについて発表したが,その時点で価格は未定だった。

 SCO社は,「同ライセンスを購入すれば,Linuxカーネル2.4および2.5を利用している企業は,知的財産権侵害を問われずに済む」としている。「2001年以降,商用Linuxの顧客は,当社所有のUNIXソフトウエアが一部不正利用された製品を購入し,受け取ってきた。これらの顧客が著作権侵害に問われないために,完全に料金を支払い,合法的にLinuxを利用できる選択肢を提供する」(SCO社SCOsource知的所有権部門上級バイス・プレジデント兼ジェネラル・マネージャのChris Sontag氏)

 SCO社は今週から,商用Linuxのユーザーと話し合いの場を持ち,同ライセンスの詳細を説明する予定である。ちなみに米メディアの報道(CNET News.com)によれば,キャンペーン期間終了後のシングルCPU搭載サーバー1台当たりのライセンス価格は1399ドルである。

 一連のSCO社の行為については批判の声が高まっており,Linuxの普及促進を目指す非営利団体Open Source Development Lab(OSDL)は7月31日に,SCO社に異議を唱えるポジション・ペーパーを公開している。また米Red Hatは,SCO社を提訴したことを8月4日に明らかにした。

 Red Hat社の提訴を受けて,SCO社は「我々はエンド・ユーザーに不安や欺瞞を広めるつもりはない。UNIXの“無認可の派生物”であるLinuxを利用するリスクについて,エンド・ユーザーの教育を行っている」とのコメントを同日発表した。

◎関連記事
米SCO,「Linuxユーザーが訴訟を回避するため」のラインセンス・プランを発表
米Red Hatが米SCOを提訴,Linux関連組織の訴訟費用を援助する基金を設立
OSDLが米SCOに異議を唱えるポジション・ペーパーを公開
米SCOが米IBMのAIX利用/販売ライセンスを無効に,「AIXユーザーも違法」と主張
米SCOが米IBMを提訴,「UNIXのライセンスを不正利用した」と主張
米SCO,「UNIXの権利を米Novellから買収したことを裏付ける契約書」の存在を発表
Microsoftが訴訟を避けるためSCOからUNIXをライセンス
SCO,Linuxの商用ユーザーが同社の知的財産権を侵害していると警告

[発表資料(1)]
[発表資料(2)]