米Sun Microsystems社は,米国防総省高等研究計画局(DARPA:Defense Advanced Research Projects Agency)の「高生産性コンピューティング・システム・プログラム」(HPCS:High Productivity Computing Systems Program)の第2段階に参加する。同社が米国時間7月8日に発表した。DARPAは,HPCSの第2段階の参加企業としてSun社,米Cray社,米IBM社の3社を選択し,3年間の研究開発の奨学金として総額1億4600万ドルの奨励金を支給した。

 Cray社も,同社の子会社であるNew Technology Endeavors社とともに,DARPAから4990万ドルの奨励金が与えられ,HPCSPの第2段階に参加することで契約したことを7月9日に明らかにしている。

 ハイエンド・コンピューティングの新しいビジョンであるHPCSは,2009年または2010年までに次世代の高生産性コンピューティング・システムの製造を目指す。第1段階では,新しいコンピュータ構築に向けたいくつかのアプローチを検証した。第2段階は3年間の研究開発,第3段階は4年間の大規模開発を予定している。

 概念研究の第1段階ではコンピュータ・メーカー5社が選ばれ,5社すべてが第2段階に向けた提案を出していた。その中で,Cray社,IBM社,Sun Microsystems社が選択された。DARPAは,大規模な開発を行なう第3段階に向けて2006年中旬に2社の選択を計画しており,最初のプロトタイプの出荷は2010年を予定している。

 第2段階への参加が認められた3社は次の通り。

・IBM社
 多数の異なる作業に適用可能なコンピュータを設計するためのPERCS (Productive,Easy-to-use,Reliable Computing Systems)プログラムに向けた研究開発を行なう。5330万ドルが支給された。

・Sun Microsystems社
 簡単で統合されたコンピュータ設計と新しいプログラミング・ツールによって生産性を促進するHeroプログラム向けに4970万ドルを支給。

・Cray社
 ペタフロップス超の演算処理が可能なコンピューターの実現に向け,同社と大学機関の研究パートナに3年間の研究奨励金として4990万ドルを支給。同社の子会社であるNew Technology Endeavors社とともに,メモリー・システムへのプロセサの組み込みによるメモリー性能の促進と高速でローディレイなネットワークの構築などの領域で研究を進める。

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