米Frost & Sullivanは米国時間7月7日,医療分野のCADシステム導入に関する調査結果を発表した。それによると,医療分野におけるCAD市場は,2002年の6520万ドル規模から,2006年には1億70万ドル規模に成長する見通しだ。

 なかでも期待が寄せられているのは,米国のCADシステム・ベンダーが開発に取り組んでいるマルチモダリティ対応のCADシステムである。マルチモダリティとは,医療機関におけるCT(コンピューター断層撮影),MRI(磁気共鳴映像),超音波装置など,異なる装置による画像データを一元管理し,複数種類の医療画像を効率よく管理,閲覧できるようにするもの。医療機関では,日ごとに増加する膨大なフィルム画像に対応するためデジタル化が急速に進んでおり,さまざまな画像装置の相互接続性を実現するマルチモダリティの重要性が増しているという。

 ユーザーは,マルチモダリティ対応のCADシステムによって,高額な所有コストを削減したいと考えている。Frost社は,胸部や肺における小結節の検出や,仮想大腸内視鏡検査などの革新的なアプリケーションが,ユーザーへの普及を後押しするとみる。

 現在,マルチモダリティ対応のCADシステムは開発段階あるいは試用段階にある。しかし,ベンダー独自のCADアルゴリズムをCTやMRIに統合するのは容易ではない。また,FDA(食品医薬品局 )による厳しい審査をパスする必要もあり,新製品の市場投入までしばらくかかりそうである。

 Frost & Sullivan社アナリストのJim Clayton氏は,「CADシステムは経済的,機能的かつ臨床的な恩恵をもたらす一方で,ワーク・フローを効率化できなければならない。またレントゲン技師や医師の個別のニーズに対応する必要がある。これらの必要条件をすべて満たす製品を開発するには時間がかかる」と説明した。

 Frost社によると,ユーザーが求めているのは,堅牢で使いやすく,コスト効率の高い方法で簡単にデジタルへ移行できるソリューションである。同社は,ワーク・フローの効率化,高速な処理能力,優れた顧客サービスを提供できるベンダーが,市場で成功すると予測する。

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