Linuxの普及促進を目指す非営利団体Open Source Development Lab(OSDL)が,企業におけるLinuxの利用状況について調査した結果を,米国時間6月16日に発表した。それによると,IT部門でLinuxを利用している企業は59%,社内の標準プラットフォームとしてLinuxをサポートしている企業は34%にのぼるという。

 調査はOSDLが,ソフトウエア開発マネージャ向け業界紙「SD Times」と共同で実施したもの。2003年5月19日~23日にかけて,SD Timesの購読者に電子メールによるアンケートを行い,370人から回答を得た。ちなみに,SD Timesの主な購読者層は社員1000人以上の企業の上級管理職で,発行部数は約5万部である。

 Linuxの用途として最も多かった回答は「WWWサーバー」(64%)。そのほか「アプリケーション・サーバー」(51%),「データベース・サーバー」(46%),「ファイル・サーバー」(44%)などが挙げられた。また「カスタム・アプリケーションの開発」に利用する回答者は43%だった。

 Linuxを利用する理由としては,「安定性」(65%),「TCOが低い」(63%),「導入コストが低い」(61%)などが上位を占めた。また「性能」(58%)や「セキュリティ」(50%)を挙げる回答者もいた。

 また「Linuxを利用する際の問題点は?」という問いに対しては,「技術サポートが限られている」(35%),「アプリケーションが限られている」(27%),「受けられる研修が少ない」(22%)など,選択肢の狭さを挙げる回答が目立った。その他には,「技術サポートの品質」(23%)や「インストールと導入の手間」(21%)などが挙げられた。
 
 Linuxに関する情報の入手先は,「WWWやオープン・ソース・コミュニティ」(76%)が最も多かった。「Linuxベンダー」(65%),「他社の技術担当者」(58%),「業界紙」(51%)とする回答者もあった。また「システム・インテグレータやシステム・コンサルタント」を利用する回答者は30%だった。

 OSDLのCEO、Stuart Cohen氏は,「安定性やセキュリティなど,プロプライエタリOSが課題とすることを,Linux導入の理由に挙げるITマネージャが多かったのは興味深い」と述べた。

 またSD Times編集長のAlan Zeichick氏は,「開発マネージャやソフトウエア開発者のあいだでは,Linuxが技術的に優れていることは既知となっている。Linuxを標準プラットフォームとして採用していない企業では,CIOなど企業の上層部が,Linuxの有用性を認識するに至っていないようだ」と説明した。

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