米Via Licensing社は,デジタル・ビデオ向けの新しい圧縮形式である「ITU H.264(別名MPEG-4 Part 10)」仕様の採用により実施される必須特許を有する団体に対して届出の要請を米国時間6月9日に発行した。これは,同仕様を利用する製品とサービスを実現するために必要な特許技術の共同ライセンシング・プールの形成を目的としている。

 MPEG-4 Part 10は,ビデオ・コーデック向けに共同開発された仕様。圧縮率に優れており,ビデオ・テレフォニ,インターネット・プロトコルのストリーミング,ブロードキャスト,圧縮ストレージといったさまざまな用途に適する。

 Advanced Video Coding(AVC)は,MPEG-2ビデオ・コーデックの2~3倍の圧縮率を実現すると推定される。「ITU-T Rec. H.264」として標準化され,最終ドラフト段階にある「ISO/IEC 14496-10 AVC(AVC標準)」は,MPEG-4 Part 2に代わる次世代ビジュアル・コーディング技術になるとみられている。

 ISO/IEC 14496-10(MPEG-4 Part 10)最終の国際ドラフト仕様は,こちらからダウンロード可能。

 今回の発表の目的は,AVCの実装に必要とされる複数の特許技術の所有者を明確にすることにある。Via Licensing社は,ISO/IEC 14496-10とITU-T Rec. H.264で特定されるAVC標準の範囲に必要とされる特許技術(出願中のものを含む)を保有し,必須特許保有者グループへの参加を希望する団体に対して,同社に届け出を要求している。

 同社は,米Dolby Laboratories傘下の企業。MPEG-4の業界団体であるMPEG-4 Industry Forum(M4IF)内の委員会,MPEG-4 Audio Licensing Committeeから,特許管理業務の委託を受けている(関連記事)。

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