米Accentureは,政府機関によるオンライン・サービスに関して調査した結果を米国時間4月8日,発表した。それによると,政府機関はオンライン・サービス実施において,コスト節約よりも国民の満足度をはるかに重視していることが明らかになった。
調査は,北米,欧州,アジアの政府機関の上級幹部職140人以上を対象にインタビュー形式で実施したもの。
国民向けのオンライン行政サービスを展開するにあたり最も重視していることとして,93%の回答者が「国民の満足度向上」を挙げた。「新サービスやより良いサービスへの需要」は83%,「政府が掲げる実行目標」は77%だった。「コストの節約」を選んだ回答者は51%にとどまった。
「回答者が口々に話していることは,『人々が望むことを提供する』だった。企業と同様に,政府が各ユーザー層に特化したオンライン・サービスに注力すれば,電子政府計画はより大きな効果を生みだし,優れた投資回収を期待できる」(Accenture社Government関連部門のSteve Rohleder氏)
またAccenture社は,22カ国のオンライン行政サービスを,CRM機能,完成度,対話性などについて分析し,5段階に評価した。
最も評価が高かった国はカナダで,3年連続の首位となった。なお,今年はレベル5(最高レベル)の該当国は,カナダだけだった。カスタマ・サービスが優れており,サービスの効果測定や多様なサービス提供チャネルの導入が評価された。
レベル4の国は,シンガポール,米国,デンマーク,オーストラリア,フィンランド,香港(中国),英国,ベルギー,ドイツ,アイルランド,フランス。レベル4の国々は,カスタマ・サービスの目標を確立し,さまざまなオンライン・サービスを提供するポータル・サイトを運用している。例えばデンマークは昨年,民間人,企業,公務員向けの各ポータル・サイトを立ち上げた。
レベル3の国は,オランダ,スペイン,日本,ノルウェー,イタリア,マレーシア。基本的なポータル・サイトを運用しており,多数のサービスをオンラインで利用可能にするべく作業を進めている段階である。
米GartnerのGovernment Research Worldwide部門バイス・プレジデントのJohn Kost氏は,「電子政府計画で多くの政府が重視しており,また重視するべきことは,国民へのサービスである。短期的にはコスト節約が期待できないが,長期的にみれば,国民のセルフ・サービス利用が普及するため,全体的なコスト削減につながる」と述べている。
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