米Microsoftが米国時間1月14日に,世界各国の政府機関に向けたソース・コード公開プログラム「Government Security Program(GSP)」を発表した。ソース・コードのほか,技術情報も提供する。「Windowsプラットフォームにおけるセキュリティ機能の強化を目的とし」(Microsoft社),各国政府機関や国際機関が「Windows」のソース・コードと技術情報にアクセスできるようにする。

 Microsoft社によると,北大西洋条約機構(NATO)やロシアの連邦通信情報局がGSPへの参加を決めており,20カ国以上の政府機関が協議中だという。参加機関名については,参加機関の要望により公表しない場合がある。

 GSPは,Microsoft社の他のソース・コード開示プログラムと異なり,政府機関のセキュリティ対策に特化する。同プログラムの参加機関に無償でWindowsの技術情報を提供し,「高度なセキュリティ技術を適切に装備したコンピューティング・インフラの構築と導入を支援する」(Microsoft社)。また参加機関には,ワシントン州レドモンドにあるMicrosoft社の開発施設を訪れ,Windowsソース・コードの開発,テスト,導入などさまざまなプロセスを調査する機会が与えられる。進行中のプロジェクトや将来のプロジェクトについて専門家と議論を交わし,Microsoft社のスタッフに直接意見を述べることができる。

 なお,GSPはセキュリティ評価基準「Common Criteria(CC)」をサポートしており,「Windows 2000」は2002年10月にCC認定を取得している。GSPに関する詳細な情報はMicrosoft社の「PressPass」サイトから入手可能。

 「Microsoft社は,当社のソフトウエアを利用している政府機関を,信頼しうるパートナとみている。GSPに参加する機関は,導入しているMicrosoft社製品の安全性と完全性を評価する機会を得ることができるだろう」(Microsoft社CTOのCraig Mundie氏)。また,同氏によるとGSPではソース・コードへのアクセスと技術情報のほか,輸出規制の障害がなければ暗号化ツールも提供する計画だ。

 ちなみに,Microsoft社は2001年に,パートナ企業にソース・コードを開示するプログラム「Shared Source Initiative」を開始している。Shared Source Initiativeを通じてソース・コードを開示している製品にはWindows 2000,Windows XP,Windows .NET Server,Windows CE 3.0,Windows CE .NET,Windows .NET technologiesなどがある。

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