米Microsoftが米国時間3月19日に,モバイル・アプリケーション向けフレームワーク「Microsoft .NET Compact Framework」を発表した。

 Microsoft社では,「同フレームワークを使用すると,(スマートフォンなど)高度なモバイル機器上でWebサービスの利用が可能になり,全世界に数100万人いるVisual Studio .NETの開発者がPocket PC OS上でモバイル・アプリケーションを容易に構築できるようになる」とする。

 Microsoft社会長兼チーフ・ソフトウエア・アーキテクトのBill Gates氏は,「コンピュータ業界の主な流れは,これまで常にソフトウエア開発者が作ってきており,このことはモバイル・コンピューティングにも当てはまる」と述べる。

 「Visual Basicが業務アプリケーションを刷新し,パソコンを業務遂行に欠かせない道具にしたように,Visual Studio .NET 2003と.NET Compact Frameworkは高度なモバイル機器上でWebサービスと豊富なデータの可能性を解き放つ。このことは,開発者がモバイル市場で斬新な新時代を作り出すことを可能にし,高度な情報機器を必要不可欠な生産性ツールに変身させるだろう」(同氏)

 .NET Frameworkと.NET Compact Frameworkは,全Windowsプラットフォームに共通する一貫性のあるプログラミング・モデルを提供する。同モデルは,Visual Studio .NET 2003という単一のツール・セットを介して利用できる。Visual Studio .NET 2003と.NET Compact Frameworkを組み合わせることで,多くのVisual Basic開発者と現在増えつつあるC#開発者は,高度なモバイル・アプリケーションの作成に取り組めるようになる。対応OSは,Pocket PC 2000以上またはWindows CE .NET 4.1以上。

 .NET Compact FrameworkおよびVisual Studio .NET 2003の主な機能は以下の通り。

・XMLおよびWebサービス対応

・複数のプログラミング言語で記述したコンポーネントの組み込みが可能

・機器をエミュレートする機能を内蔵

・ドラッグ&ドロップでビジュアルに操作可能なフォーム設計ツール

・さまざまなユーザー・インタフェース部品

・遠隔デバッグ機能

 同社では,.NET Compact Frameworkの最終版を,2003年4月に製品版を発売する予定の「Visual Studio .NET 2003」に同梱するとしている。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,.Net Compact Frameworkのスタンドアロン版は現在テスト目的でのみ利用可能という。

 また同社は,米ViewSonicがROM内に.NET Compact Frameworkを入れたPocket PC対応機器「ViewSonic V37」をリリースすることも明らかにした。3.5インチの透過反射型ディスプレイを備え,米IntelのXScaleプロセサ(動作周波数は400MHz),64MバイトのSDRAM(ユーザー用領域は36.45Mバイト),64MBのROMを搭載する。詳細については,Microsoft社のWWWサイトに掲載している。

 さらに同社は複数のソフトウエア会社の協力により,.NET Compact Frameworkを使う開発作業を支援する目的で,同フレームワーク対応コンポーネントやソリューションを提供する活動を進めるとしている。

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