米Hewlett-Packard(HP)が米国時間3月4日に,データ・センター向けの冷却ソリューション「smart cooling solution」を発表した。「電力消費量を大幅に減らし,年間数100万ドルの経費削減が可能」(HP社)とする。

 HP社の研究所が開発した同ソリューションは,計算流体力学を応用し,データ・センター内の温度分布に関する3次元モデルを作成する。このモデルを使い,冷却に使う電力を最適化するようコンピューティング・リソースやエアコンの配置を決定する手法である。

 HP社サービス部門マーケティング/戦略/提携担当副社長のJuergen Rottler氏は,「強力なマイクロプロセサとシステムが増えるにしたがい,データセンターの熱密度が高まっている」と説明する。「データ・センター計画作業の一過程としてエネルギ効率の高い冷却手段を組み込めば,空間利用効率の改善,賃貸料の抑制,業務継続性の確保が図れる上,多くのデータ・センターで冷却コストを約25%削減できるだろう」(同氏)

 HP社によると,同ソリューションにかかるサービス・コストは,電量消費を節約した分でまかなえるという。「たとえば,3万平方フィート(約2787平方メートル)のデータ・センターに1000台のラックがあり,コンピューティング・インフラの運用に10MWの電力を消費し,熱の分散/除去にその半分の5MWを使っているとする。電力コストが毎時1MW当たり100ドルの場合,冷却だけで1年間に最大400万ドルかかることになる。この規模のデータ・センターでは冷却コストを25%,つまり年間100万ドル節約できる」(同社)

 なお同社の研究所では,静的な冷却ソリューションに加え,動的なsmart cooling solutionについての研究も進めている。「動的なsmart coolingでは,データ・センター運用中の演算負荷の増減に応じ,冷却の必要なときに,必要な場所を直接冷やすようにする」(HP社研究所主任科学者のChandrakant Patel氏)

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