米国胸部疾患専門医学会(ACCP)は米国時間2月11日,「インターネットを利用して医療情報を収集する肺ガン患者が増加している」などとする調査結果を発表した。同学会が発行する月刊医学誌「CHEST」の2月号で明らかにしたもの。
調査は肺ガン患者139人を対象に,アイオワ大学医学部が3カ月間にわたって実施したもの。インターネットへのアクセスや用途,情報をどのように評価しているかなどについて調べた。患者の平均年齢は58.5歳である。
肺ガンについて詳しく知るためにインターネットを利用している回答者は16%で,医者に直接尋ねる以外では,最も利用されている情報源であることが分かった。
「これまで,インターネットを利用する高齢者は少なかったが,それも過去のことだ。肺ガンは高齢者が患うことが多い深刻な疾患のため,インターネットを利用して積極的に情報収集を行う高齢者が増えている」(米国胸部疾患学会,主任研究者兼カリフォルニア大学医学部主任のMichael W. Peterson氏)
また今回の調査から,患者はインターネットで収集した情報に,医師から得た情報と同程度の信頼をよせていることが明らかになった。しかし,医療情報サイトの多くが適切な情報を正確に提供できていないことを,過去の調査は指摘している。
「インターネットにある情報には不確定要素が含まれており,その多くは情報として最低レベルの水準に達していない。また情報が正確でも,専門用語が多用されている場合が多く,一般ユーザーにとって理解しにくい内容である」(Peterson氏)
ACCP会長のUdaya Prakash氏は,「医療関係者はインターネットを使って情報収集を行う患者が増えていることを認識し,ユーザーはインターネットの医療情報を過信しないようにするべきだ」,と忠告した。
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