米国半導体工業会(SIA:Semiconductor Industry Association)は米国時間2月3日,2002年12月と通期の世界半導体市場に関する調査結果を発表した。2002年12月の全世界の売上高(3カ月の移動平均)は125億ドルで,前月の128億ドルと比べ2.3%減少した。前年同月の102億ドルからは23.1%増加した。

 2002年における売上高は1407億ドルで,前年の1389億ドルから1.3%増加した。第1四半期に5.6%増,第2四半期に5.8%増,第3四半期に8.2%増,第4四半期に1.9%増と成長を続けた。第4四半期の売上高は376億ドルで,前年同期と比べて23%増加した。

 SIA議長のGeorge Scalise氏は,「2001年第4四半期から始まった復調傾向は2002年も続いた。IT市場の需要鈍化にありながら,注目すべき成果をあげた。2003年は幅広い製品分野で回復が見込まれ,売上高は前年比19.8%増の1693億ドルにのぼるとみる」と述べた。

 2002年は,無線分野が最も急速に成長した。第4四半期に携帯電話機の販売台数が2けたの伸び率で増加したため,フラッシュ・メモリーとDSPがそれぞれ13.2%と6.8%成長した。アジアの携帯電話加入者は引き続き増えており,特に中国では1カ月あたりの新規加入者数が約500万人に達する。

 パソコンは半導体製品全体の30%を消費しており,依然として最大シェアを占めている。第4四半期はパソコンの需要が上昇したため,マイクロプロセサやDRAMがそれぞれ10.1%と7.6%成長した。

 新たな成長分野として登場したのが,WiFi(802.11)だ。公共の場で無線接続を提供するホット・スポットの拡大により,2000~2005年における無線LAN用ICの年平均成長率は,35%を上まわる見通しである。

 地域別でみた場合,アジア太平洋地域が最も急速に成長している。2002年は売上高が前年と比べて29%増加した。世界市場で36%のシェアを占め,米大陸から首位を奪った。米大陸の売上高は前年比13%減少,日本と欧州は同8%減少した。

■2002年12月の世界市場 前月比(単位:10億ドル)

市場                      11月              12月           成長率

米大陸                    2.69              2.60          -3.6%
欧州                      2.61              2.54          -2.5%
日本                      2.85              2.77          -2.5%
アジア太平洋              4.68              4.61          -1.4%
合計                     12.83             12.53          -2.3%

出典:SIA
■2002年12月の世界市場 前年比(単位:10億ドル)

市場                  2001年12月       2002年12月        成長率

米大陸                    2.47             2.60            5.0%
欧州                      2.20             2.54           15.8%
日本                      2.13             2.77           30.5%
アジア太平洋              3.39             4.61           36.3%
合計                     10.18            12.53           23.1%

出典:SIA
■2002年12月の世界市場 3カ月の移動平均 (単位:10億ドル)

市場                  2002年9月       2002年12月        成長率

米大陸                   2.63             2.60           -1.4%
欧州                     2.32             2.54            9.8%
日本                     2.83             2.77           -1.9%
アジア太平洋             4.51             4.61            2.3%
合計                    12.29            12.53            1.9%

出典:SIA

◎関連記事
「2002年の世界DRAM市場は前年比36.7%増,韓国サムスンが首位を維持」,米データクエスト
2002年の世界半導体市場の売上高は1554億ドルで前年比1.4%増
2002年の世界の半導体市場は1.5%の微成長。韓国Samsungが49.5%増で4位から2位に浮上
2002年10月の世界半導体市場は前月比1.8%増,無線分野が好調
2002年Q3の世界半導体製造装置市場,売上高は前期比22%増だが受注額は26%減
2002年9月の北米半導体製造装置業界は受注額が前月比19%低下,「資本投資回復の予測が困難」
米国・世界のSEMIndexがともに下落,「半導体エンド・マーケット需要の不透明感が要因」とSEMI
「2002年5月の世界半導体市場は前月比2.8%増収,ほとんどのカテゴリが成長」,とSIA

[発表資料へ]