米GartnerのDataquestが英国時間12月17日に,世界DRAM市場に関する調査結果(速報値)を発表した。それによると,2002年における同市場の売上高は162億ドルで前年比36.7%成長した。

 上位ベンダーをみると,首位は市場シェア31%を獲得した韓国のSamsung Electronics。2位を13ポイント以上も引き離し,DRAM市場で確固とした地位を築いている。

 Dataquest社上級アナリストのAndrew Norwood氏は,「Samsung社は年間を通じて利益をあげることに成功し,競合ベンダーに大きく水をあけた。また,RDRAM(Rambus DRAM)や DDR SRAM(Double Data Rate static RAM)など,高額製品で好業績を達成したことが売上高の増加につながった」と説明する。

■DRAMベンダー上位6社の売上高(速報値)
(単位:100万ドル)
---------------------------------------------------------------------------------
                       2002年    2002年       2001年    2001年     2000年~2001年
ベンダー               売上高   市場シェア    売上高   市場シェア     成長率
---------------------------------------------------------------------------------
Samsung Electronics     4,992     30.8         3,200     27.0        56.0
Micron Technology       2,791     17.2         2,260     19.1        23.5
Hynix Semiconductor     2,104     13.0         1,716     14.5        22.6
Infineon Technologies   1,981     12.2         1,154      9.7        71.7
Elpida Memory           1,032      6.4         1,011      8.5         2.1
Nanya Technology          785      4.8           273      2.3       187.7
その他                  2,526     15.6         2,242     18.9        12.7
合計                   16,212    100.0        11,856    100.0        36.7
---------------------------------------------------------------------------------

注:Micron Technology社の売上高には,2002年第1四半期における東芝製DRAM売上高を含む。

出典:Dataquest社(2002年12月)

 2位は米Micron Technologyで,3位は韓国Hynix Semiconductorが維持した。順位変動はなかったものの,両ベンダーともにシェアを落とす結果となった。Hynix社のシェア縮小は,「大手顧客との取り引きが減ったほか,高額なハイエンド製品の割合が小さいことが災いした」(Norwood氏)ためである。

 4位は,11年連続でシェアを拡大しているドイツのInfineon Technologies社である。同社は市場シェアを12%まで拡大し,初めて10%を超える快挙を成し遂げた。

 地域別でみると,2002年は日本のDRAMベンダーにとって厳しい1年となった。「日本のベンダーはかつてDRAM市場を席巻していたが,今は他社の後塵を拝している。1986年には市場全体の78%を占めていたが,2001年には21%,2002年はわずか12%まで減少した」(同氏)

 一方,台湾のベンダーが市場で健闘している。台湾は2001年に8.4%だったシェアを,2002年に14%まで拡大した。とりわけ台湾のNanya Technologyの躍進が目覚ましく,2002年に順位を2段階繰り上げて6位の座を獲得した。

 2002年にDRAM市場の売上高は増加したが,ベンダーの多くは減収に悩まされている。その余波で,DRAMを製造する国どうしの摩擦が生じている。Micron社は,政府による韓国製DRAM輸入の奨励が,2002年に米国のDRAMベンダーに大きな痛手を与えたとして調査を要請していた。米国の国際貿易委員会は最近,この件に関する調査の継続を発表している。しかし,Norwood氏は「Micron社のシェア縮小は韓国ベンダーとは無関係」という見方を示した。

 DRAMは世界半導体市場で最も変動しやすい分野である。ちなみに2002年における世界半導体市場の売上高は1.4%増加したが,DRAMを除くと前年と比べ2%減となる。

◎関連記事
2002年の世界半導体市場の売上高は1554億ドルで前年比1.4%増
2002年の世界の半導体市場は1.5%の微成長。韓国Samsungが49.5%増で4位から2位に浮上
2002年10月の世界半導体市場は前月比1.8%増,無線分野が好調
2002年Q3の世界半導体製造装置市場,売上高は前期比22%増だが受注額は26%減
2002年9月の北米半導体製造装置業界は受注額が前月比19%低下,「資本投資回復の予測が困難」
サムスン電子の2002年Q2決算,売上高と純利益で過去最高を記録
米国・世界のSEMIndexがともに下落,「半導体エンド・マーケット需要の不透明感が要因」とSEMI
「2002年5月の世界半導体市場は前月比2.8%増収,ほとんどのカテゴリが成長」,とSIA

[発表資料へ]