ドイツのLufthansa AGが実際に運航している旅客機で,米Cisco Systemsのネットワーク機器を使った高速インターネット接続サービスの試験運用を行う。Cisco社がドイツのフランクフルトで現地時間1月15日に明らかにしたもの。サービス提供は同日より開始する。

 Cisco社では,「商業運航している旅客機でブロードバンド・ネットワーク・サービスを提供するのは,これが業界初」としている。

 運用試験はフランクフルトとワシントンD.C.間を飛行するLufthansa社の定期航空便で行い,機体はボーイング747-400を使う。サービス提供に必要なインフラは,米Connexion By Boeingが提供する。これにより,地上と航空機とのあいだで双方向のリアルタイム通信が可能となる。通信速度は,ダウンストリームが3Mbps,アップストリームが128Kbps。

 Cisco社は,Wi-Fi(IEEE 802.11b)対応無線装置や客席に取り付けるEthernetコネクタなど,航空機内で使用するネットワーク技術を担当する。5台の無線アクセス・ポイント「Cisco Aironet 350 Series Access Point」を航空機内に配置し,「Cisco 3640 Router」を1台,「Cisco Catalyst 3548 XL Series Switch」を9台設置した。

 「ネットワーク・サービス提供のため,Cisco社のほかに2社のシステムを検討した。Cisco社のソリューションを採用したのは,航空機という非常に特殊な環境に対応できる柔軟性を備えていたことが理由だ」(Lufthansa社FlyNet担当プロジェクト・マネージャのBurkard Wigger氏)

 なおLufthansa社は,試験運用を3カ月間続け,顧客の要望に合わせサービス内容の調整を行う予定という。「可能であれば,今後2年間かけて大陸間の全フライトにブロードバンド接続サービスを導入する」(同社)

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