Qualcommの航空機ソリューション米QUALCOMMが米国時間10月29日に,低地球軌道(LEO)衛星デジタル通信システム「Globalstar」を使った航空機向けソリューションの試験に成功したと発表した。

 QUALCOMM社が開発した,「MDSS Globalstar Communications System (MDSS)」と呼ぶCDMA技術を使った航空機用通信システムである。

 MDSSは,最大128kbpsのデータ転送速度でデジタル音声/データ通信を行う無線通信システム。Globalstarを使うことで,航空機はグランド・サービスや専用線ネットワーク,WWWサイトへのアクセスや電子メールなどの双方向通信機能を利用できる。MDSSはこのインフラにQUALCOMM社の技術を組み合わた。

 MDSSは,ビデオ/オーディオによる航空機客室/コックピットのリアルタイム監視,フライト・データのリアルタイム監視といった用途に利用できるという。またトランスポンダ(航空管制用装置)の補助として,航空機の便名,機種,高度,スピード,位置情報を報告したり,機内の緊急医療サービスの提供も可能になる。

 MDSSは,米連邦航空局(FAA)の承認が得られる最終段階になる。以下の機能/特徴を備える。

・最大128kbpsのパケット・データ通信(600kbpsへの拡張については現在研究中)
・音声/データ/ビデオ通信
・装置は小さく軽量(22.6kg以下)
・FAAに認可されるアンテナ(写真)は,寸法9.5"(L) x 3.75"(W) x 1.7"(H),重量0.9kg以下ですべての航空機に搭載可能。
・堅牢なデザインで,航空機の気圧調節空間の内と外のいずれにおいても使用可能。
・現行の連邦通信委員会の要求条件をすべて満たしている。

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