Web関連技術の標準化を進めるWorld Wide Web Consortium(W3C)は,XMLベースの2次元ベクトル・グラフィックス用言語「Scalable Vector Graphics(SVG)1.1」と,SVGのモバイル機器向けプロファイル「Mobile SVG Profile」をW3C勧告(Recommendation)として米国時間1月14日,発表した。

 SVG 1.1のグラフィックス機能は,W3Cが2001年9月に発表した「SVG 1.0」と同じである。今回の変更点は言語の定義方法にある。SVG 1.0ではDocument Type Definition(DTD)が単一構造で分割できなかったのに対し,SVG 1.1ではDTDが機能ごとに小さく柔軟なビルディング・ブロックに分割されている。これにより,さまざまな目的に応じ,ブロックを組み合わせて利用することが可能となった。

 Mobile SVG Profileとしては,第3世代(3G)携帯電話機向けの「SVG Tiny」と,ハンドヘルドやパームトップ・パソコン向けの「SVG Basic」の2種類を定義した。これらプロファイルはSVG 1.1のサブセットに相当し,SVG 1.1の一部の機能に対応する際の基準となる。

 SVG Tinyを使うことで,テキスト・メッセージやサイズが固定されたビットマップを送るのではなく,カラフルな動画によるマルチメディア・メッセージを携帯電話で送信できるようになるという。またSVG Basicにより,持ち運び可能なポケット型パソコンで企業のXMLデータベースに無線接続し,最新情報を画像を使って入手できるようになる。

 「一時的な現象かもしれないが,デスクトップ・パソコンを利用できない数100万人の人々にとって,携帯電話はインターネット接続やWebアクセスを可能とする機器だ。3GPPがすでにMobile SVGを盛り込んでいるので,3G携帯電話からより豊かで使いやすいコンテンツを利用できるようになるだろう」(W3CフェローのDean Jackson氏)

 なおW3Cによると,SVGに組み込んだ地理的なメタデータを使った位置情報サービスなど,SVG Mobileを利用した商用サービスがすでに運用されているという。「2002年11月時点で,15件の実装が検証されている」(W3C)

 なお,SVG Working Groupに協力した主な企業は以下の通りである。米Adobe Systems,ベルギーAgfa-Gevaert,米America Online,キヤノン,カナダCorel,米Eastman Kodak,スウェーデンEricsson,米Hewlett-Packard,KDDI,フィンランドNokia,シャープ,米Sun Microsystems。

◎関連記事
W3Cが,グラフィックス用言語「SVG 1.1」とモバイル機器向けプロファイル「Mobile SVG Profile」をW3C勧告候補として発表
「インターネット・アクセス機器市場が拡大,2006年の出荷台数は7億9000万台に」―米調査会社
加コーレルがSVG対応開発プラットフォームなどXML向けツールを一挙発表
加Corel,Tablet PC専用グラフィックス・アプリケーション「Corel Grafigo」を無償提供
米アドビが画像サーバー・ソフト「Adobe Graphics Server 2.0」を出荷
米アドビが「FrameMaker 7.0」を発表,XMLに対応
Web3D Consortiumが3Dグラフィックス仕様「X3D」のドラフト版を発表
OASIS,オフィス・アプリのXML標準フォーマットを検討する技術委員会を設置

[発表資料へ]