WWWブラウザの3次元(3D)コンピュータ・グラフィックスを表示するための標準仕様作りを進めている非営利団体Web3D Consortiumが米国時間2月24日に,アリゾナ州で開催されたシンポジウム「Web3D Symposium」で標準規格「X3D(Extensible 3D)」のドラフト版を発表した。Web3D Consortiumが2月26日に明らかにしたもの。

 同団体はX3Dの商業向け実装と展開に向けた基準を作成し,国際標準化機構(ISO:International Standards Organization)に申請する予定である。X3Dはロイヤリティ無料とする。X3Dのドラフト版はWWWサイトから入手可能。

 X3Dは,小型軽量のWWWクライアントでの3D画像動作を可能にし,放送用装置や組み込み装置に高性能3D機能を実装できるようにする。コンポーネント構造をとるため,小型クライアント・プレーヤにアドオン・コンポーネントを組み込んで利用できる。

 また,高機能アプリケーション向けプロファイルを用意する。プロファイルには,X3Dコンテンツ変換用の「Interchange Profile」,軽量アニメーション配信に対応した「Interactive Profile」,アドオン・コンポーネント開発のための「Extensibility Profile」,X3Dコンテンツと従来の「VRML97」コンテンツとの相互操作性を確保する「VRML97 Profile」などが含まれる。

 なおWeb3D Consortiumによると,動画像符号標準化団体Motion Picture Experts Group(MPEG)がX3DのInteractive ProfileをMPEG-4標準規格における軽量双方向3D画像の基準として承認したという。

 Interactive ProfileはX3Dの小型サブセットで,MPEG-4対応システムにおける双方向3D機能を可能にする。処理能力に制限のある省電力コンピュータ,セットトップ・ボックス,携帯電話機,PDAのほか,デスクトップ・パソコンやゲーム機などを視野に入れる。

 Web3D Consortiumは,X3Dと他のWorld Wide Web Consortium(W3C)規格の密な連携を目指すとしている。XML(Extensible Markup Language),DOM(Document Object Model),SVG(Scalable Vector Graphics)などとの統合を図る。

 またWeb3D Consortiumは,JavaベースのX3Dツールキット「Xj3D」をサンプル・ソース実装として提供する。Xj3DはGNU Lesser General Public License(LGPL)のもとで利用可能。

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