ソニーは,Web上の3次元コンピュータグラフィックス(CG)で作成した仮想空間に,ストリーミング映像を再生する技術を開発した。子会社のソニーマーケティング(東京都港区)を通じて,「SpaceStream」の名称でサービスを開始する。まず3月7日に,ソニー・ミュージックエンタテインメント(東京都新宿区,SME)が運営する有料音楽配信サイト「bitmusic」( http://bit.sonymusic.co.jp/ )内に,SpaceStreamを使ったコーナーを開設。3月9日からは,他の企業への販売を開始する。ソニーマーケティングの田辺幸夫情報システム営業本部統括課長は「3年以内に年間20億円の売り上げを狙う」と語る。

 SpaceStreamは,無償のプラグインソフトをダウンロードすると,WebブラウザーのInternet Explorer上で3次元空間を表示できるサービス。SMEの例では,ユーザーは3次元の仮想店舗内を歩き回りながら,楽曲の視聴やビデオの視聴,商品の購入などが可能だ。ソニーマーケティングでは,クライアントの要求に応じてオリジナルの3次元空間を構築するサービスと,あらかじめ作成した3次元空間を貸し出すサービス(7月開始予定)の2種類を提供する。利用料金は前者が300万円から,後者が月額5万円からとなる。

 3次元CGを使ったコンテンツは,1995年ころに登場し当初は人気を集めた。だが,画質の悪さやダウンロードに時間がかかるなどの欠点も多く,この2~3年は全く下火になっていた。こうした問題に対し,ソニーマーケティングの中山善光情報システム営業本部統括部長は「今までは技術だけが先行し,インフラが追いついていかなかった。ブロードバンド環境が普及し始め,ようやくインターネットを使った3次元空間は実用期に入った」と自信ありげに語った。

(小川 弘晃=日経ネットビジネス)