インターネットの標準化を進めるWorld Wide Web Consortium(W3C)が米国時間4月30日に,XMLベースの2次元ベクトル・グラフィックス用言語「Scalable Vector Graphics(SVG)1.1」と,SVGのモバイル機器向けプロファイル「Mobile SVG Profile」をW3C勧告候補(Candidate Recommendation)として発表した。

 SVG 1.1のグラフィックス機能は,W3Cが2001年9月に発表した「SVG 1.0」と同じである。今回の変更点は言語の定義方法にある。SVG 1.0ではDocument Type Definition(DTD)が単一構造で分割できなかったのに対し,SVG 1.1ではDTDが機能ごとに小さく柔軟なビルディング・ブロックに分割されている。これにより,さまざまな目的に応じ,ブロックを組み合わせて利用することが可能となった。

 Mobile SVG Profileとしては,マルチメディア対応携帯電話機向けの「SVG Tiny」と,ハンドヘルドやパームトップ・パソコン向けの「SVG Basic」の2種類を定義した。これらプロファイルはSVG 1.1のサブセットに相当し,SVG 1.1の一部の機能に対応する際の基準となる。

 SVG Tinyを使うことで,テキスト・メッセージやサイズが固定されたビットマップを送るのではなく,カラフルな動画によるマルチメディア・メッセージを送信できるようになるという。またSVG Basicにより,持ち運び可能なポケット型パソコンで企業のXMLデータベースに無線接続し,最新情報を画像を使って入手できるようになる。

 「3GPPがすでにMobile SVGを盛り込んでいるので,第3世代携帯電話機からより豊かで使いやすいコンテンツを利用できるようになるだろう」(W3CフェローのDean Jackson氏)

 なお,SVG Working Groupに協力を行った主な企業は以下の通りである。米Adobe Systems,ベルギーAgfa-Gevaert,米America Online,カナダBitFlash,キヤノン,カナダCorel,CSIRO社,米Eastman Kodak,スウェーデンEricsson,米Hewlett-Packard,フランスILOG,KDDI,フィンランドNokia,Openwave Systems社,米Quark,Savage Software社,Schema Software社,シャープ,米Sun Microsystems,ZOOMON AB社。

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