米Transmetaはx86アーキテクチャ対応の組み込み用プロセサ「Crusoe Special Embedded(SE)」を米国時間1月6日,発表した。Transmeta社では,「工場の自動化,科学用計測器,小売用キオスク端末,POS端末,自動車の情報化,プロセス制御,ホーム・オートメーション・システムなどに向く」と説明する。

 Crusoe SEプロセサは同社の消費電力管理技術「LongRun」を採用しており,プロセサの温度を監視することで,動作周波数と電圧が最適な値になるよう動的に制御できる。その結果,消費電力と発熱を最小限に抑え,冷却ファンを持たない組み込みシステムの構築が可能という。またチップセットを内蔵しているので,システムの大きさを小さくできる。さらに,86系命令をプロセサ内蔵の独自命令セットVLIWに変換するソフトウエア「Code Morphing Software(CMS)」をアップグレードしている。

 Transmeta社は,プロセサの温度が摂氏100度に達する環境で長期間の使用に耐えるよう,同プロセサを設計/試験したという。「将来リリースするCrusoe SEは,より広い動作温度範囲を必要とする特殊な組み込み用途にも対応させる」(同社)

 同プロセサの位置付けについて,Transmeta社社長兼CEOのMatthew R. Perry氏は「x86組み込みアプリケーション用のCrusoe SEプロセサのリリースにより,当社の既存のモバイル事業を補完し,2つある重要な目標を達成することになる」と述べる。「Crusoeプロセサの対象とする市場を,成長している新たな分野と地域に拡大できる」(同氏)

 Crusoe SEは直ちに利用可能とする。動作周波数は667MHz版,800MHz版,933MHz版の3種類を用意し,大量生産時の667MHz版の単価は50ドル未満とする予定。

 またTransmeta社は同日,Crusoe SEプロセサを使った組み込み機器の開発を行う顧客を持つBIOS/ファームウエア会社,組み込みOS会社,半導体供給会社に向けた支援プログラム,「Embedded Partners Program」を発表した。

 同プログラムの一環として同社は,組み込みシステム関連顧客向けのWebサイトを準備している。同サイトの開設は,2003年1月6日の週の後半を予定する。

◎関連記事
米トランスメタの「Crusoe」がWindows CE .NETの認定を取得
米トランスメタ,「Crusoe」向け開発キット「Crusoe TM5800 System Development Kit」を発表
米モトローラが組み込み用プロセサ・コア「ColdFire」の新版を発表。動作周波数333MHzで610MIPS
米インテルが動作周波数400MHzの組み込み用超低電圧プロセサ「Ultra Low Voltage Intel Celeron」を発表
米インテルが動作周波数933MHzの組み込みボード用プロセサ「Low Voltage Intel Pentium III」を発表
米ミップスが米AMDに64ビット・アーキテクチャをライセンス供与
英ARMが新アーキテクチャ「ARM11」を発表,2002年4Qに対応CPUをリリース
組み込み向けマイクロプロセサ市場,2001年から年平均17.3%で成長し,2006年には約86億規模

[発表資料へ]