米DisplaySearchは米国時間12月17日に,2002年第3四半期における10インチ以上の大型TFT LCD市場に関する調査結果を発表した。大型TFT LCDの出荷台数は事前の予測通り前期比8%減,前年同期比では40%増の1620万台となった。

 過去3年をみると,前期と比べて出荷台数が減少したのは今回が3度目となる。なお,減少率はこれまでで最悪となった。

 「第2四半期に出荷台数が需要を上回った反動を受けた。第2四半期は,LCDモニター用モジュールの出荷台数が前期比10%増,ノート・パソコン用モジュールの出荷台数が前期比8%増だったものの,LCDモニターとノート・パソコン自体の需要はともに3%減少した。このため,OEMの在庫が相当量ふくらんだ。また第2四半期は,毎月価格が上昇していたため,なるべく低い値段で在庫を確保しようとOEMが発注を過剰に行った」と,DisplaySearch社社長のRoss Young氏は説明する。

 こうした状況により,第3四半期はLCDモニター用モジュールの出荷台数が前期と比べ2.5%減少して865万台,ノート・パソコン用モジュールが16%減少して675万台となった。しかし,前期と比べ両モジュールの出荷台数は減少したものの,「LCDモニターとノート・パソコン自体の出荷台数は,OEMが抱えていた在庫によって増加している」(同氏)という。

 なお,LCDテレビ用モジュールの出荷台数は前期比27%増,工業用モジュールは前期比14%増となった。

 第3四半期は鈍化した需要を喚起するために,販売価格の低下が進んだ。第3四半期における大型TFT LCDのASP(平均販売価格)は前期と比べ5%低下した。ちなみに第2四半期には前期比で13%上昇した。第3四半期の工業用モジュールとLCDモニター向けモジュールのASPは,下降ペースが最も早く7%低下した。LCDテレビ用モジュールは,大型パネルを搭載した製品への移行が進んだことから2%上昇した。

 2002年第3四半期の大型TFT LCDの総売上高は出荷台数とASPの減少により,前年同期比13%減の44億ドルとなった。ノート・パソコン用モジュールが同20%減,LCDモニター用モジュールが同10%減,LCDテレビ用モジュールが同29%増,工業用モジュールが同6%増である。

 第4四半期におけるTFT LCDの出荷台数は,価格低下に後押しされ,前期比12%増となる見込み。用途別にみると,LCDテレビ用モジュールが同60%増,工業用モジュールが同13%増,LCDモニター用モジュールが同11%増,ノート・パソコン用モジュールが同9%増。しかし,ASPが出荷台数の伸びをしのぐ勢いで減少するため,第4四半期におけるLCDモニターの売上高は10%減の40億ドルになる見通しだ。ASPは2003年第1四半期までに安定するという。

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