米Sun Microsystemsは米国時間9月18日に,サンフランシスコで開催中のSunNetwork 2002 Conference and Pavilionの会場で,動作周波数1.2GHzの「UltraSPARC III Cu 1200」プロセサを発表した。同プロセサを搭載するシステムの出荷を120日以内に開始する。

 「業界トレンドが消費電力の高すぎる64ビット・プロセサへ向かうことに対抗する」(Sun社)

 プロセサの製造プロセスは,米Texas Instrumentsと共同で実用化した0.13μmルールを採用する。1.2GHzという動作周波数は,「UltraSPARC III Cu 1050」プロセサの1.05GHzに比べ14%高速。ピーク時の消費電力は53Wで,UltraSPARC III Cu 1050の75W(ピーク時)から30%減少する。

 「素子配置処理を改善したことで,プロセサのダイ・サイズを小さくできた。これにより製造コストを低減でき,“最も低価格な64ビット・プロセサ”という位置を確実なものにしている」(同社)

 なおLSI製造に関しては,ムーアの法則(Moore's Law)と呼ばれる「シリコン基盤上に集積可能なトランジスタの数は,18カ月ごとに2倍になる」という経験則が存在する。それに対しSun社の技術者は次のように説明する。「ムーアの法則を“利用可能な最大サイズのダイ上にできるだけ多くのトランジスタを詰め込む”条件と解釈せず,“Less is Moore's”と呼ぶ手法を使用してダイ・サイズを縮小し,同時に低製造コストと低消費電力を達成した」(訳注:“Less is Moore's”は「過ぎたるは及ばざるが如し」に相当する英語の格言“Less is more”のもじり)

 またSun社は同日,サーバーの動作負荷設定を管理するためのソフトウエア「Fifth Generation Dynamic Reconfiguration Software」についても明らかにした。同ソフトウエアはWebベースのユーザー・インタフェース,サーバー設定,動作負荷バランシング技術を組み合わせ,企業のデータ・センターでグリッド・コンピューティング形式のサーバー運用を実現する。「当社製システムの環境で処理能力を最大限発揮させるとともに,総所有コスト(TCO)と総運用コストをさらに削減する」(同社)

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