米IDCは米国時間9月9日に,2002年における世界パソコン出荷台数の伸び率予測を従来の前年比4.7%増から同1.1%増引き下げることを発表した。2002年の世界パソコン出荷台数は1億3550万台にとどまる見通しだという。また2003年の伸び率予測も,従来の前年比11.1%増から同8.4%増に引き下げる。

 公的機関と小企業による支出はさしあたり続くが,中~大規模企業の支出は不調だ。特に米国と欧州でその傾向は強い。またパソコン出荷台数全体の約1/3を占める消費者向けも低迷が続いている。

 「第2四半期に入る段階でみうけられた市場の勢いはほとんど消え去ってしまった。消費者の支出は減少し,企業はパソコン投資を先延ばしにしている。消費者向けと企業向けの両方の需要が上向かない限り,おそらく2003年半ばまで市場の大幅な回復は見込めないだろう」(IDC,Worldwide Quarterly PC Tracker部門ディレクタのLoren Loverde氏)

 地域別の主な見通しは以下の通り。

・米国:企業向け分野は2002年第2四半期に回復をみせたものの,依然としてマイナス成長だった。株式市場が活気を取り戻さない限り,企業はIT投資をこのままおさえるだろう。消費者向け分野は季節的な要因により2002年後半に伸びるが,従来の予測には届かない。

・西欧:2002年第2四半期は,消費者と企業分野ともに低迷が続いた。年末に向かって企業分野が少しずつ回復するが,大きな復調には至らない。

・日本:今後も不振が続き,金融機関のトラブルが市場を脅かす。経済が回復し,金融機関の問題が改善すれば,2003年に出荷台数が増加に転じるだろう。

・アジア太平洋地域:ほとんどの国で回復傾向に戻っている。一部の国は引き続き不調だが,中国,オーストラリア,インドなどの大手市場のおかげで,2002年は地域全体で10%伸びる見込み。

■1999年~2003年のパソコン出荷台数推移(単位:100万台)

                     1999年   2000年   2001年   2002年   2003年
米国市場の出荷台数
  消費者向け          17.7     19.3     15.5     15.7     15.9
  企業向け            30.9     32.7     30.5     30.6     32.3
  合計                48.6     52.0     46.1     46.3     48.2

世界市場の出荷台数
  消費者向け          41.4     52.4     47.2     47.6     51.0
  企業向け            79.2     87.5     86.9     87.9     96.0
  合計               120.6    139.9    134.1    135.5    147.0

出典:IDC
■1999年~2003年におけるパソコン出荷台数ベースの伸び率

                     1999年   2000年   2001年   2002年   2003年
米国市場の伸び率
  消費者向け         41.0%     9.2%   -19.6%     1.2%     1.2%
  企業向け           13.0%     5.6%    -6.6%     0.1%     5.7%
  合計               21.8%     6.9%   -11.4%     0.5%     4.2%

世界市場の伸び率
  消費者向け         47.2%    26.6%    -9.8%     0.9%     7.1%
  企業向け           14.4%    10.5%    -0.8%     1.2%     9.2%
  合計               23.9%    16.0%    -4.2%     1.1%     8.4%

出典:IDC

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