「WWWサイトの性能が悪いと,マーケティング費用を年間何百万ドルも無駄にすることになる」。WWWサイトの性能テスト用ソフトウエアを手がける米Red Gate Softwareが米国時間7月31日に,WWWサイトの性能とユーザーの反応に関する調査結果を発表した。

 Red Gate社は自社のANTS(Advanced .NET Testing System)ソフトウエアを用いて,ユーザー500人が企業,旅行,ショッピング関連のWWWサイトを訪れた場合のシミュレーションを行った。WWWサイトの応答時間の長短に,ユーザーがどのような反応を示すのか,独自の測定法である“フラストレーション係数”とサイトの“放棄予測値”用いてを調査した。

 フラストレーション係数は0~100で測定し,数値が高いほどフラストレーションの度合いが強いことになる。また放棄予測値は,フラストレーションからサイトを立ち去るユーザー数の割合をあらわす。

 「WWWサイトの応答性能の善し悪しは,その企業の収益に直接的な影響を与えている。サイトの放棄予測値が25%ならば,オンラインの潜在的顧客を25%逃していることになる。単純明快な論理だ」(Red Gate社マーケティング/販売担当ディレクタのSimon Galbraith氏)

 Galbraith氏は米AT&Tを例にあげて説明した。AT&T社は昨年前半に,広告費として推定4億4700万ドルを費やし,その結果トラフィック増に成功した。しかしRed Gate社は,AT&T社のサイトを訪れるユーザーの33%が途中でサイトを放棄する,と予測している。ダウンロード時間が長く,ページの表示に時間がかかるため,フラストレーション係数41という結果が出ているからだ。「フラストレーション係数が5未満であれば,とてもよい結果と言える。一方,20を超えるようであれば,ビジネスに悪影響を及ぼすだろう」(Galbraith氏)

 米Microsoftのサイトのフラストレーション係数も28と比較的高いが,放棄予測値は0%だった。これは,一貫して表示に時間がかかるサイトの方が, 時折ユーザーを長時間待たせるサイトより,ユーザーがサイトを去る頻度が低いことに起因している。

 Microsoft社とAT&T社を比較した場合,Microsoft社の方が広告に要したマーケティング費用をより効率的に回収できることになる。Red Gate社は,AT&T社がMicrosoft社と同じ広告効果を得るためには,マーケティング費が約50%余分にかかるとみる。

 米航空大手5社によるOrbitz社をはじめ,米Hotwire,米Airlines Air Line,米Delta Air Lineなどは,ユーザー1人を引きつけるために約1ドルの費用をかけている。しかし,これら旅行関連サイトのフラストレーション係数は比較的高く,その苦労はあまり報われていない。フラストレーション係数は,Orbitz社のサイトが25,米Expediaが33。また両サイトともに,ユーザーの4分の1がサイトを放棄するとRed Gate社は予測する。

 Red Gate社が調査した検索サイトは,すべて放棄予測値が0%だった。フラストレーション係数はYahooがやや高く30。Googleは検索のしやすさを重視したつくりで,11の好成績を収めた。またAltavista,Lycos,LookSmartのフラストレーション係数も11,もしくはそれより低い数値となった。

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