米IBMが米国時間7月9日に,「Rotational Vibration Safeguard(RVS)」と呼ぶ振動防止技術を採用した新型サーバー用ハード・ディスク装置「Ultrastar 146Z10」を発表した。「RVSにより,大型ディスク・アレイの性能を向上できる」(IBM社)

 RVSは,複数のディスクを使うシステムに生じる問題を解決するための技術という。「(ディスクの)回転速度が上がり,複数のハード・ディスク装置がディスク・アレイに格納されるようになると,振動が激しくなり,最終的に性能の悪化につながる」(同社)。RVSではサーボ技術を使い,複数のディスク装置が同時に動作する場合に発生する振動を自動的に相殺する。

 「この技術を量産製品で採用するのは,当社が初めて」(同社)

 同社が行った試験によると,Ultrastar 146Z10は,最も性能要求が厳しいサーバー用ハード・ディスク装置として,満足できる信頼性を示したという。性能面では,「従来の製品に比べ,スループットが15%,WinBenchによるベンチマークが10%向上した」(同社)

 また同ハード・ディスク装置は,低騒音,省電力性,耐衝撃性でも優れているという。

 Ultrastar 146Z10の主な仕様は以下の通り。

・容量:146/73/36/18Gバイト
・重さ:780g(最大)
・回転速度:10,000RPM
・平均遅延時間:3ms
・最大転送速度:825Mbps
・面記録密度:263億ビット/平方インチ
・プラッタ数:6/3/2/1枚(ガラス製)
・ヘッド数:12/6/3/2個(GMR記録ヘッド)
・耐衝撃性:非動作時225Gs(1ms),動作時45Gs(2 ms)
・平均シーク時間:4.7ms
・厚み:25.4mm(+/-0.4mm)
・騒音:アイドル時3.7Bels,動作時4.5Bels
・キャッシュ:8Mバイト
・消費電力:アイドル時10.2W,最大16.0W
・インタフェース:Ultra320 SCSI互換(Ultra160 SCSIと下位互換),2Gビット・ファイバ・チャネル互換(1Gビット・ファイバ・チャネルと下位互換)

 なお,Ultrastar 146Z10は同日より利用可能となる。

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