米In-Stat/MDRが,「過去数年間で広帯域ユーザーやデジタル・ビデオ・サービスの加入者が増加しており,大容量デジタル・ファイルを保存可能な民生電子機器の需要が増えている」,などとする調査結果を発表した(米国時間5月21日)。

 民生電子機器メーカーはこのような消費者ニーズに応えるために,手ごろな価格のハード・ディスク装置の提供に努めてきた。大容量データの保存が可能な製品として,パーソナル・ビデオ・レコーダ(PVR),米Microsoftの「Xbox」,米Apple Computerの「iPod」などが挙げられるほか,ハード・ディスク装置を組み込んだデジタル・オーディオ・ジュークボックスやテレビなどがある。

 「ハード・ディスク装置メーカーにとって,コンピュータ分野が最も重要な市場であることに変わりはないが,消費者向け民生電子機器分野も二次市場として着実に拡大している。メーカーによる製品開発の努力が実りつつあるようだ」(In-Stat/MDR社上級アナリストのMike Paxton氏)

 消費者向け市場では,フラッシュ・メモリ,RAM,光学式ディスク装置などが引き続き幅広く利用される見通しだ。しかし,ハード・ディスク装置は信頼性,価格,容量などの点において強みを発揮できるため,今後その勢いを増すことが予測される。

 その他の主な調査結果は次の通り。

・世界におけるPVRの出荷台数は,2001年の120万台から2003年には600万台以上へと急増する。また同期間におけるPVR製品の売上高は,5億5000万ドルから23億ドル以上に達する。

・ハード・ディスク装置を組み込んだ衛星放送向けセットトップ・ボックス(STB)が,PVR出荷台数の大半を占める傾向は今後も続く。しかし今後2年間に,ケーブル放送向けSTBの出荷台数が急増する。

・iPodや「Rio Riot」など,ハード・ディスク装置を統合した携帯型デジタル音楽プレーヤの人気が極めて高い。世界におけるデジタル音楽プレーヤの出荷台数は,2001年の23万台から2003年には95万台以上へと急増する。

・ハード・ディスク装置を組み込んだ民生電子機器の開発は今後も続く。次世代製品として,ハード・ディスク装置対応のPDA,携帯電話機,ウェアラブル・コンピュータなどが登場する見通し。

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