米IBMが米国時間6月4日に,従業員削減を含む事業再編計画について明らかにした。「変化の激しい情報技術業界で競争力を強化するため」(IBM社)としている。

 IBM社は本社やその他の部門を対象に従業員を削減する。「スキルのバランスを調整し,長期にわたって生産性の向上と運営の効率化を図る。これにより,IBM社の競争力を強化する」(IBM社)

 同社Microelectronics事業では,銅配線技術の利用を拡大し,アルミ配線を使った生産を廃止する。カスタムチップの設計,製造,ファウンドリに注力する。

 また同社は,日立製作所と次世代ストレージ・ネットワークやシステムに関して複数年の共同研究開発を進めることも明らかにした。ちなみにIBM社は,日立が同社のハード・ディスク装置(HDD)事業を買収することで合意に達したことを同日発表している(IBM社プレス・リリース)。日立は20億5000万ドルでIBM社HDD事業関連の資産を取得し,独立した会社を設立する。

 IBM社はこれらの再編策により,2002年第2四半期に約20億ドル~25億ドルの税引き前費用を計上する見込みである。

 IBM社上級副社長兼CFOのJohn R. Joyce氏は,「これらの再編策はIBM社の営業支出を大幅に抑えるだけでなく,短期的および長期的な戦略的立場の強化につながる」と説明した。

 なお,IBM社は今回発表した再編計画の詳細を,7月半ばに行う2002年第2四半期決算報告の際に明らかにする。

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