オークション・サイトの米eBayは米国時間7月8日に,オンライン決済システムの米PayPalを買収することで合意に達したと発表した。取り引きは2002年末頃に完了する予定。

 「eBay社のサービスにとって決済は非常に重要だ。PayPal社の機能をeBay社のプラットフォームに組み込むことにより,ユーザーの使い勝手を向上し,売り手と買い手が安心して素速く安全に取り引きできるようにする」(eBay社)

 eBay社はPayPal社のすべての発行済み株式を株式交換方式で買い取る。PayPal社の株式1株に対してeBay社の株式0.39株を支払う。7月5日の株価に基づいた総買収金額は15億ドルとなる。

 PayPal社は独立ブランドとして経営を継続する。現在PayPal社がeBay社のサービスで提供しているシステムは,PayPal社の事業全体の約60%を占めている。残りの40%は小規模な販売事業者向けである。eBay社はこれらの販売事業者により,新規視聴者を獲得する意向である。

 また,「世界中で4600万人にのぼるeBay社のユーザーがPayPal社のシステムを利用するようになるため,PayPal社は大きな成長の機会をつかむことができる」(eBay社)。現在eBay社傘下のBillpoint社が提供している決済サービス「eBay Payments」は,PayPal社の買収手続きが完了した後,段階的に廃止する。

 PayPal社は「Web Accept」製品などの消費者向けサービスは継続するが,ゲーム関連事業は買収手続き完了後に閉鎖する予定である。

 なお,eBay社は2002年第2四半期決算の速報を同日発表している。連結売上高は約2億6600万ドル,会計原則(GAAP)ベースの純利益は5430万ドル(希薄化後の1株当たり利益は19セント)である。

 また,PayPal社が6月12日に発表した2002年第2四半期決算の予測は,売上高が5300万ドル~5400万ドルの範囲。一時的な費用を除いた1株当たり利益は8セント~9セントの見込みである。

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