米Microsoftが,韓国LG ElectronicsとオランダPhilips Consumer ElectronicsがMicrosoft社の「Mira」と呼ぶ技術を使ったスマート・ディスプレイを開発中であると発表した。CEOのSteve Ballmer氏がドイツのハノーバーで開催中のCeBIT 2002で現地時間3月13日に明らかにしたもの。
さらに同氏は,米TriGem Computerと台湾Tatungが,両社のOEM顧客向けに,Mira対応機器の設計を行うことも明らかにした。これでMira対応機器を迅速な市場投入できるようになるという。「世界中で2002年のクリスマスまでには,Mira対応スマート・ディスプレイを目にすることができるだろう」(Microsoft社)
Miraとは,スマート・ディスプレイを実現するためのWindows技術に対して付けられたコード名。家庭内のどこからでも「Windows XP」を利用可能にする。Windows XPと「Windows CE .NET」のリモート・デスクトップ,そして無線ネットワーク技術を組み合わせることで,取り外して持ち運び可能な無線対応タッチスクリーン・モニターや,パソコンを使って音楽や写真を楽しめる大画面のデジタル・テレビといったスマート・ディスプレイを実現する。
「Mira対応のスマート・ディスプレイにより,WWWブラウジング,電子メールの送受信,デジタル画像の編集や表示,そして音楽を楽しむことなど,家庭内のどの部屋からでもWindowsを利用できるようになる」(Microsoft社)
Philips社は,Mira対応の10.4インチのリモート・モバイル・モニターをCeBIT 2002で展示している。このモニターはWindows XPベースのパソコンから取り外し可能で,無線を使ってパソコンにアクセスできる。
LG Electronics社は,取り外し可能な15インチ液晶モニターを開発している。Microsoft社によれば,同社は10インチから15インチのリモート・モバイル・モニター向けのフォーム・ファクタの検討も行っているという。
またTatung社とTriGem社は,Windows XPベースのパソコンに対してセカンダリ・モニターとして動作可能な,8インチ~10インチのMira対応リモート・モバイル・モニターを発売する予定だという。
なおMicrosoft社は,Miraの出荷を2002年の後半に予定している。
また米National Semiconductorが同日,Mira対応スマート・ディスプレイ向けの参照デザインを作成したと発表した。同社は「Geode」技術のハードウエアおよびソフトウエアをMira対応消費者向け機器に組み込む際のサポートを行うため,Original Device Manufacturer(ODM)とデザイン・パートナを手配したという。
「National Semiconductor社がMira対応機器向けの参照デザインを提供することで,OEM各社は迅速に次世代スマート・ディスプレイを開発できるようになり,消費者は家庭内のどこからでもWindows XPを利用可能できるようになる」(Microsoft社組込み/アプライアンス・プラットフォームおよびマーケティング担当上級ディレクタのKeith White氏)
Geodeは,マイクロ・プロセサ,グラフィクス,インタフェースを一つのLSIに組み込んでいる。「超省電力の設計がなされており,情報アプライアンスに適した性能を持つ。Mira対応のスマート・ディスプレイに最適な価格/消費電力/性能のバランスを提供する」(National Semiconductor社)
なお同社のMira向け参照デザインは,すでに利用可能となっている。
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