米IBMが米国時間11月1日に,中小企業(SMB)に向けたモバイル接続支援のプログラム「Start Now Wireless Solutions」を発表した。「出先にいる顧客担当従業員などに“モバイル・オフィス”を提供し,無線機器を使って企業内にある製品/在庫情報にアクセスできるようにする」(IBM社)

 同社では,無線通信市場は年50%以上の伸び率で成長し,2003年には2340億ドル規模にまで増大すると予測している。また「中小企業向けのIT関連ビジネスの市場規模は3000億ドルを超え,顧客はその2/3を,投資を迅速に回収するためのソリューションに充てる」(同社)とみる。

 IBM Start Now Wireless Solutionsの提供は,IBM社が教育と認定を行ったパートナー企業(Business Partner)が行う。具体的には,「IBM Mobile Connect V2.5」「DB2 Everyplace Enterprise Edition」「Lotus Domino Everyplace Enterprise Server」などのソフトウエアと,「eServer」や「ThinkPad」,各種サービスなどをパートナー企業が組み合わせて提供していく。

 さらにStart Now Solutionsプログラムではパートナー企業に対して,1)ソフトウエアおよびハードウエアの推奨コンフィギュレーションの提示,2)顧客への提案およびソリューション導入/拡張に対する指導,3)導入するシナリオや独立系ソフトウエア・ベンダー(ISV)のツール,資金面の検証,を行う。

 「無線通信の利用はこれまで大企業のものだと思われていた。このプログラムは,中小企業の予算を増やしたり,社内技術者を要することなく,フィールド担当者の生産性や顧客満足度の向上を手助けできる」(IBM社ソフトウエア・チャネル・マーケティング部門副社長のMark Hanny氏)

 同社では,IBM Start Now Wireless Solutionsの典型的な例として,次の3種類のシナリオを用意している。

・モバイル・オフィス:従業員が出先から無線機器を使用して,会社のメール・サーバーに届いたメールを取得したり,会社が管理している住所録を参照する。スケジュールの更新も行う。

・顧客対応:顧客のサイトにいる修理担当者が無線機器を使用して会社のデータにアクセスし,顧客の詳細情報を取得したり,部品の価格確認や予約を行う。

・運営の生産性向上:会社側に常駐しているスタッフが,フィールド担当者のスケジュールをもとに顧客への訪問スケジュールを調整する。

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http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/USNEWS/20010116/8/
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