米IBMが無線戦略，「全製品系列，サービス，ソリューションを無線対応に」

横田英史

2001.05.22

　米IBMは米国時間5月21日に，無線戦略について明らかにした。同社のパソコンやモバイル機器，サーバー，ソフトウエア，サービス，ソリューションを無線対応にして提供するというもの。「すべての製品ラインに無線アクセスを提供するのは業界“初”」（IBM社）という。

　ノート・パソコンの「ThinkPad」製品系列や，サーバーの普及機を無線対応にするほか，ソフトウエアやサポート，サービスなどで無線機能やソリューションを提供する。これにより，事務所や移動先，事務所-移動先間で従業員が社内の重要アプリケーションに無線でアクセスできるようにする。また9万社あるという同社のパートナー企業が無線ソリューションの販売や開発を行えるようにする支援プログラムも始める。

　IBM社が発表した新たな製品，技術，サービスの概要は以下の通りである。

■無線携帯端末
　ThinkPadおよびWorkPadの無線機能を拡張する。ThinkPad製品系列のディスプレイ内に無線LANアンテナを内蔵する。無線LAN規格「IEEE 802.11」に対応する。アンテナは米IBM Researchが開発したデュアル・アンテナで，他社製ノート・パソコンに使われているアンテナに比べ受信感度が高いという。WorkPadでは2機種を無線LAN対応にする。

■IBMサーバ用の無線技術
　e-Server製品系列で最新の遠隔無線管理技術「IBM eServer Wireless Remote Management」を提供する。管理者はインターネット電話，PDAやWWWブラウザ端末といった一般的な携帯端末を使って，無線によるサーバー制御が可能になる。またサーバー・アプリケーションを無線機器向けに拡張する。

■無線インフラ・サービス
　IBM Global Serviceが新サービス「Instant Wireless LAN」を提供する。これはハードウエアやソフトウエア，インストール・サービスをパッケージ化したもの。同社の既存サービスを拡張するものと位置づけており，これにより「高速で信頼性の高い無線データ転送環境を実現するもので，全産業のあらゆる規模の企業が無線e-businessを導入するのを支援する」（IBM社）。

■LSI開発
　IBM社と三菱電機が共同で，第3世代携帯電話向け低消費電力LSIを開発する。IBM社がシリコン・ゲルマニウム（SiGe）製造技術を用いた通信LSIを製造し，三菱電機がこれを次世代携帯電話機製品に採用する。

■ビジネス・パートナー
　同社の無線ソリューションの市場投入を促進する各種プログラムを実施する。これらは，IBM社の売り上げの1/3を占めるという，9万社におよぶパートナ企業を通じて提供する。無線アプリケーションを開発するISV（independent software vendor）を支援するほか，IBM社のハードウエアやWebSphere Everyplace Suite，Lotus Domino Everyplace Familyといったソフトウエア・プラットフォームに関する無線教育／トレーニングを支援する。こちらはソリューション・プロバイダに向ける。

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