オランダのRoyal Philips Electronics傘下のPhilips Digital Networks社と米Digimarcがオランダ時間9月18日に,Digimarc社がPhilips社に供与している放送向け電子透かし技術のライセンス契約を拡大したことを明らかにした。

 両社は2001年4月に,Philips社の放送監視システム「WaterCast」にDigimarc社の電子透かし技術を組み込むことで契約を結んでいる。今回の契約では,WaterCastシステムの新アプリケーションにも対象を拡大する。

 対象となる新アプリケーションは,著作権識別技術の「Copyright Communication」,不正コピー追跡技術「Forensic Tracking」,コンテンツ/著作権管理技術「Asset Management」,放送識別技術「Remote Triggering」。それぞれにDigimarc社の電子透かし技術を用いる。

 WaterCastは,ビデオへの電子透かしのすり込みや検出などの機能を備えた監視ソリューション。地上放送やCATV放送,衛星放送で,ビデオ信号に識別データを組み込み,番組や広告のデータが基準を満たしているか,放送事業主の許可を得ているかなどについてチェックを行う。視聴者は感知できないごくわずかなデータを加える。50Hz/625走査線,60Hz/525走査線に対応する。データ・レートは最大72bps。

 両社は,WaterCastシステムをベースとしたソリューションの開発および共同マーケティングに関する契約を更新したことも明らかにした。Digimarc社はPhilips社のWaterCastシステムの認定販売代理店として,電子透かしのID登録サービスや顧客の用途に合わせたカスタム・アプリケーションの開発サービスなどを提供する。

 両社は,Copyright Communication,Forensic Tracking,Asset Management,Remote Triggeringのソリューション提供に力を入れるほか,顧客対応のアプリケーション開発などでも協力体制を敷く。

 両社は,ビデオ向け電子透かし技術の業界団体「Video Watermarking Group」のメンバー企業であり,ビデオの複製防止や再生制御技術などのアプリケーションの開発でも協力体制を敷いている。同団体には,日立製作所,米Macrovision,NEC,ソニーなども参加している。

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[発表資料1]
[発表資料2]