「短期的観測では,データのポータル・サービスは音声ポータル・サービスに比べ魅力に乏しく,また重要度も低い」。米Allied Business Intelligence(ABI)が携帯端末や固定端末で利用するポータル・サービスに関する分析結果を発表した。
音声ポータル・サービスの方がデータ・ポータル・サービスよりも早く普及するという。
音声ポータルのサービスは,すべての主要無線通信事業者で導入が予定されている。2.5G(第2.5世代)や3G(第3世代)携帯電話のサービスの登場により,音声ポータルは顧客ロイヤルティを確立するための新たなサービスになるという。顧客にとってはコンテンツにより簡便にアクセスできる手段となる。
「米Sprint PCSや米AT&Tが,音声ポータルの技術/サービスを手がける米Tellme NetworkやHeyAnita社と契約を結んだばかりで,音声ポータルは今まさに離陸するところ」(ABI社主席アナリストのAnna Karampahtsis氏)。
無線によるデータ・ポータル・サービスは,無線ネットワークの新システムへの移行が当初の計画より遅れていることから苦境に立たされている。しかし音声ポータルがこの不振の産業に活を入れるという。
「先進のスピーチ/ボイス・システムや,新たな業界標準,携帯電話加入者の増加,これに有線/無線のインターネットの利用者が急増していることで,音声ポータル産業は急速に発展しつつある」(同社)。
音声ポータル・サービスとは,音声命令による情報へのアクセスを提供するサービスである。携帯電話などの端末にはメニューが表示される。ユーザーは発話によって,所望の情報を入手する。株価情報,ニュース,映画情報,気象情報,スポーツ・ニュース,交通情報などが用意される。なお端末は有線/無線の両方が考えられる。
北米では,2001年中にも固定端末を使った音声ポータル・サービスのユーザー数は2001年中に400万人近くにまで増大すると同社は予測する。また2005年にはこの数が1700万人にまで増える。モバイル端末を利用した音声ポータルのユーザー数は2001年中に100万人,2005年末には5600万人になると予測する。
「音声ポータルの主要ターゲットはモバイル・ユーザーだ。しかし当初は固定電話で新しいサービスを試すという人の方が多いだろう」(Anna Karampahtsis氏)。
現在の携帯端末の利用法では,音声とデータのサービスは互いに競い合うという関係である。しかし3G携帯電話システムが利用されるようになれば,ほとんどのシステムで音声/データの同時利用が可能になることから両者は互いに補完し合う関係になる。同社はこれを“マルチ・モーダル”のソリューションと呼んでいる。また同社では,このマルチ・モーダルのサービスを利用する人の数が2006年には2億8200万人にまで増えると予測している。
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