このページは,「読者96人の意見に答える――『動かないコンピュータとコンサルタント』問題について」と題した記事の第3部です。第1部はこちらのページでお読みください。

[2002/11/05] 一般論は不要
 私はコンサルティング側の人間です。お話の内容は確かに実際にありそうな話です。ただし,問題の所在については異論があります。みんなに責任がある,という一般論をいっても解決になりません。責任の所在はプロジェクト失敗例ごとにあり,それはいろんなパターンがあるはずです。要は,プロジェクトの段階ごとにアウトプットを評価して進める,という基本を守ってないからではないでしょうか。昔は新しいITシステムや方法論,今はさかしげなコンサルタントの言うことを盲目的に信じて,やってくれたことをきちんと評価することをしないで突き進む,というところが解決されないかぎり同じです。私も構築の現場でインテグレータの方に「コンサルタントは信用できない」とあからさまにいわれたことがありますが,「じゃあ,あなたたちが今までやってきたことは?」と問い返したくなります。

2時45分:「プロジェクトの段階ごとにアウトプットを評価して進めるという基本」が定着していないのは事実である。いわゆる「PDCA」がまわっていないのは,システム開発に限らない。どうしても現場の開発そのものに突っ込んでしまい,俯瞰したマネジメントがなされない。

[2002/11/04] システム部門の弱体化も原因
 情報システム部門にいるものです。良いコラムだと思いました。自社に貢献するシステムを手に入れるには,自ら汗を流すしかない。コンサルティング会社やインテグレータはあくまでパートナーであって主体はあくまで顧客である。こう理解しました。昔から言われている事だが,マスコミから新しい言葉が出る度に,過度に期待してしまい,同じ過ちを犯してしまう。
 今回の事例も,ITへ期待感の一方で情報部門の弱体化があり,どうしても社外に頼ってしまう事が原因の一つではないだろうか。すなわち,自社で汗をかかず,丸投げし,できた結果を評価できないまま検収してしまう。マスコミは,警告を鳴らしつづけていただき,我々のお尻をたたき続けていただきたい。解決策は顧客が考える事であるというコメントにも同意。

2時49分:マスコミは思いついたときに警告をならすが,継続性がない。この点,筆者はしつこいので大丈夫である。ただし,皆様のお尻をたたき続けるという気持ちはない。皆様がマスコミをたたき続けるのはよい。

[2002/11/04] いいものと悪いものは常に存在
 経営者に「良い経営者」と「あほな経営者」といるように,コンサルタントにもインテグレータにも,「良いコンサルタント・悪いコンサルタント」「良いベンダー・悪いベンダー」といる。これらのどこかに「あほな・・・」もしくは「悪い・・・」がいると,他が「良い・・・」であっても「動かないコンピューター」の出現である。

2時52分:「あほなマスコミ」があり,「あほな記者」が存在する。自戒したい。

[2002/11/04] ビジネスマンはシステム思考を
 繰り返し同じ話を読んだ気がします。一人コンサルタントだけが悪いわけではなく共同責任なのだとの趣旨だと思いますが,どうして同じパターンの過ちが繰り返されるのでしょうか?,「経営トップが馬鹿」だとすれば,SEががんばればすむ問題とも思えません。結局,日本のビジネスマンの大部分には,システム思考,根本的なITリテラシーが身につくことがなかったのでしょう。そして,今後についても悲観的にならざるを得ません。

2時54分:確かに筆者は20年近く同じ話を取材し,書いている。ただし悲観はしていない。これはもっぱら筆者の性格によるところが大きいが,それだけではない。「システム思考,根本的なITリテラシーを身に付けた経営者やビジネスマン」に遭遇することもあるからである。

[2002/11/02] コンサルタントも日本を救う
 私は自営のコンサルタントです。世の中には,ご指摘のようなケースも少なからずあり,事実で否定はしません。書きたいことが山ほどありますが,字数の関係で簡単に記します。外資系のコンサルティング会社は,経営層には受けます。しかし日本的な現場には合わないことが多い。それで、成果物の報告書が死蔵されることになる。現場は、現状業務のやり方に固執し,改革に保守的です。システム化するということは業務改革であり,良いシステムになるほど思い切った改善改革が必要です。プロジェクト要員は、もっと経営センスを磨かねばなりません。建築の設計家は,完成するまで現場に足を運び施主と施工者に対し調整や指導をします。自分の思い(設計)のとおりに出来上がっているが,その実現ための努力です。コンサルタントも同様に,経営トップとインテグレータを調整指導して,完成させる責任があります。 いずれにせよ,われら弱小のコンサルタントにとっては,不況とこの記事のダブルパンチです。「システムズ・エンジニアが日本を救う」。良いキャッチコピーです。「コンサルタントも日本を救う」とならねばいけません。

2時59分:このご意見は一度,筆者のページ「谷島宣行の情識」でも取り上げた。返信を書きにくいのでいったん逃避し,ここまでで全体の何割くらいまで返信を書いたのかを確認した。まだ半分にも到達していない。何度も言うが,どの意見も中身が濃い。改めてここでお礼を言いたい。
 さて,このご意見にはまったく同意である。一行付け加えるとすると,「記者も実態をよく取材し,報道し続ける責任がある」となろう。「コンサルタントも日本を救う」という記事を書きたいと思う。おっしゃりたいことが山のようにある場合,筆者にメールを送っていただきたい。

[2002/11/02] すべての元凶はマスコミ
 記事の内容は5年以上前から私が経験したり感じていたこととほぼ一致しており,IT業界の実態の再確認になりました。しかし,どなたかコメントで指摘されていましたが,全ての元凶は「真実を報道しないマスコミ」だと思います。煽りに乗る無能な管理職と経営者,そしてコンサル屋が連発する謳い文句に「○○月号の日経○○では~」が多用されている実態を考えてください。私の会社(インテグレータ大手)の技術者は「東○ポみたいな○○は虫唾が走る」と,次々と定期購読を止めています。偽りではありません。

3時5分:おっしゃる通りである。筆者のページには,「誤報の検証」という欄を設けている。一回書いたら,批判がたくさん寄せられ(記事へ),続きを書いていないが,なんとか第二弾を書くよう努力したい。

[2002/11/02] コンサルタントは助言する人
 成功する鍵はSEが自らコンサルティングをするか,コンサルティングとSEが密接な関係を持つことが必要です。コンサルタントは助言する人という意味ですから,そんなのに高い金を払ってはならない。実行できる人間に頼まないと駄目です。現場がコードの統一に苦労しているなどの細かいことから,トップの悩み,夢までを全てまとめてシステムに反映しなければ意味がないです。ここまでやればお客様は必ず喜んでくれます。この記事のコンサルってシステム・コンサルタントですよね?経営コンサルタントで有名な一倉定先生などはすばらしい方だと思います。

3時8分:厳密にいうと,システム・コンサルタントを相当数抱えている会社を指している。

[2002/11/02]  外部の企業は対価を得るために活動する
 コンサルタントはコンピュータを動かすために活動しているわけではないでしょう。相談相手になることの対価を得るためだと思います。最初はベテランのコンサルタントがやってくるのはコンサルタント契約を結ぶためで,契約成立後に若いコンサルタントに代わるのは,そのほうがコンサルタント会社にとって人件費が安いからでしょう。そしてベテランのコンサルタントは別の顧客へと渡っていきます。インテグレータはコンピュータを動かすために活動しているわけではないでしょう。開発活動の対価を得るためだと思います。動かないシステムが出来上がるのも不思議はありません。さらに動かないシステムは,また別のコンサルタントの需要を生みます。筆者は誰に動くシステムを作ってもらいたいのでしょう。コンサルタントには作りあげる能がないことは,ほとんど常識(非常識?)です。では,だれに期待すべきでしょうか?

3時10分:顧客自身と考える。自分の神経系統だからである。

[2002/11/01] 気の利いた人をコーチに雇う
 ERPベンダーで営業本部長としていろいろなERP導入ケースに携わってきたが,ここに記述されていることは全くその通りである。いや,これ以上の悲惨なケースを何件も見てきている。3年間で500億円のコンサルティングフィーを見積もったコンサルティング会社を見たのが,私の遭遇した最悪ケースである。
 知識集約産業であるコンサルタント会社の単価感覚は常識はずれであり,どこにその収入が再分配されているのかどう考えても理解しがたい。知識が非常識な方向へ集約されているのではないかと思う。
 自分の携わってきたプロスペクトには,大手コンサルタント会社はできるだけ使うなと,常々言ってきた。理由は簡単である。自分たちで(自社で)決めなければならないことを他人に決めてもらうことにお金を払う価値などないからである。それをするなら,気の利いた方法論を持つ人にコーチ(ガイド)してもらえばよい。この気の利いた人はどこにいるのか?大手から離れ,小回りの利いたもしくは独立した会社に多く発見できることは経験上確かである。

3時13分:こうした気の利いた人たちを,困っている企業に紹介する仕組みができないかと思う。このERPベンダーのように,営業責任者が気の利いた人を紹介するというのは理想である。

[2002/11/01] 物事の本質に迫るコンサルティングを
 インテグレータです。現場の人間にとってはうなずくほかは無い話です。上層部がパッケージを指定するくだりなどは,うちの話しか?と勘ぐるくらいです。さらに付け加えるなら経営者層はコンサルティング会社も国内ではなく,外資系を喜ぶ傾向があるようです。いろいろ優秀な方々のバインダーを見せていただきましたが,物事の本質に迫るコンサルティングを,実際にシステムを造る我々インテグレータができるようにならねばと,強く思っています。

3時15分:ご健闘を祈ります。この一文は「である調」では書きにくかった。

[2002/11/01] 良きコンサルタントを目指す
 まだ入社して数年しか経っていないコンサルタントの1人です。自分に対し,戒めとなるとても良い記事でした。 1カ月後には上流からのERP関連プロジェクトに参画しなくてはいけない状況であり,その時には今の事によく注意して,良きコンサルタントとしての一歩を踏み出していきたいです。

3時24分:丁重なコメント,ありがとうございます。ぜひとも立派なコンサルタントになってください。この一文も「ですます調」になった。

 さて執筆開始からちょうど3時間が経過した。さすがにばててきたので,いったん執筆を中断し,睡眠をとることにする。昨年,社内のインターネット関連会議で,「読者の意見全部に回答するのに,どのくらいかかりますか」と質問を受けた。「ただ答えるなら3時間くらいです」と答えた。だいぶいい加減な回答だったことになる。
(続く)

全文は以下のページでご覧ください。
第1部 ~1月24日1時18分
第2部 1月24日1時26分~2時38分
第3部 1月24日2時45分~3時24分(本記事)
第4部 1月24日8時20分~9時15分
第5部 1月24日11時10分~25日18時
第6部 1月25日19時~19時24分
第7部 1月25日22時42分~23時40分

(谷島 宣之=ビズテック局編集委員)