このページは,「読者96人の意見に答える――『動かないコンピュータとコンサルタント』問題について」と題した記事の第2部です。第一部はこちらのページでお読みください。

[2002/11/12] 資格より問題解決を
 どんな立場の人でも何かを始める時には最低限の知識は必要でしょう。それから技術職の評価基準に“資格”は不要でしょう。資格より,「今ここで障害が起きた時にあなたならどんなことができますか?」の方が実務的で対費用効果も文句なし。資格一杯取っても問題解決できなければ意味なし。

1時40分:ご指摘の通りである。ただ,自己研鑽の動機付けとして,資格をとることは意味があると思う。資格ゼロで仕事ができる人もいるし,山のように資格を持ち,かつ仕事ができる人もいる。「何かを始める時には最低限の知識は必要」は耳が痛い。何も知らなくても,記者になれるからである。

[2002/11/12] どんな職業でも本質を知らない人はいる
 論点がよく分かりませんでした。ただ単に,どんな物事に於いても,本質を知らない人は「お金=時間」を無駄に浪費する,だけの話だと思いますが。それは,コンサルタントだから,経営者だから,システム部門だから,では無く。どの職業でも同じ。趣味でも同様。アホな経営者も,詐欺コンサルタントも,弱気なシステム部門も,一定の確率で存在します。おそらく,そのほとんどが,天然でしょう。天然とは,わざとやっているわけでは無いという意味です。ですからこの記事は,事実を文章にしただけに過ぎず,メッセージ性を感じませんでした。せっかくですから,そういう人達と遭遇しない為の努力とか。対峙したときの対処法などあれば,良かったと思います。

1時42分:批判を読むと急にしゃんとする。あの記事で言いたかったのは,「コンサルティング会社は万能ではない。経営者あるいはシステム部門がしっかりしていないと大金を失う危険があるので注意されたし」ということである。また,コンサルティング会社の中には天然ではないものもある。むやみに会議をしたり,結論をなかなか出さず,だらだらと時間を稼ぐのは,アホなのではなく,悪賢いからである。対処法については,今回,読者の方があれこれ書き込んでおられるので参考にしていただきたい。

[2002/11/11] システム構築を安易に考えるな
 システム構築のプロセスで失敗の原因は多々あるが,当記事の指摘事項は,多少誇張があるが納得できる。要するにビジネスプロセス・リエンジニアリングにかかわるシステム構築の“難しさ”を,経営トップからシステム開発者までに関係する人間が,よく理解して事にあたらないと失敗する。システム構築を安易に考えてはいけない。

1時50分:これまで何度も書いているように,とりわけ問題は,経営トップであろう。本業でここまで安易なことをする経営トップはいないと思うが,なぜかシステムがらみになると,暴走してしまう。また宣伝をすると,筆者が開発中の新媒体は,経営トップ向けにする予定である。

[2002/11/10] 記事にメッセージがない
 叩くべき敵を分散させてしまった結果,「誰にもけんかを売っていない文章」になってしまった感があります。どうせけんかを売るなら,ちゃんと「コンサルタントに」もしくは「経営陣に」喧嘩を売って下さい。▼結果を出せず,現場に迷惑をかけるコンサルタントに,詐欺同然ともいえる高いコンサルタント料が行かないような仕組作りが大切だ,とするメッセージくらい,ちゃんと出してもいいでしょう。▼たとえ「赤の他人」であっても,高い料金を取るのならば,それだけの結果が要求される。それだけのことです。少なくとも,この例で挙がった若手の単価は異常でしょう。

1時54分:文の書き方に問題があり,誤解を与えてしまったのかもしれないが,あの記事でだれかにけんかを売るつもりはなかった。繰り返しになるが,ああいう実態があることを改めて指摘したかった。「結果を出せず,現場に迷惑をかけるコンサルタントに,詐欺同然ともいえる高いコンサルタント料が行かないような仕組み」をちょっと考えてみたが難しい。最終のソフトウエアならともかく,要件定義書の品質をチェックして,「こんなものには金を払えない。やり直し」とはなかなか言えない。結局,読者が書いていたように,できのわるいコンサルタントには,早めにお引き取りいただくしかない。

[2002/11/09] もっと具体的な記事を
 私もシステム・インテグレータのコンサルティング部門にいる一人です。記事にある事例は弊社でも発生しております。「発注側も汗をかき,一緒に要件定義云々」というのは抽象的すぎませんか。具体的にどうコンサルタントを使うのかを記事にしてして欲しい。大体バインダーを欲しがられるのもお客様側です。ベンダーやハード売り上げを気にするメーカー系インテグレータならうまくいくのか。そうではないはず。システム開発におけるプレイヤー分析をお願いします。

2時4分:また抽象的な表現になってしまうかもしれないが,お答えする。要件定義を社外の人が受け持つのは,論理的におかしい。あくまでもコンサルタントは,要件を定義する顧客を支援する役回りと思う。したがって,何十人も来てもらう必要はない。よほどの巨大システムでない限り,少数精鋭でほとんどの要件を決められるはずである。プレイヤー分析はなかなか難しい。コンサルタントの能力は,そのコンサルタントが属している企業ではなく,やはりコンサルタント個人に依存するからだ。

[2002/11/08] すべてのコンサルタントに問題があるわけではない
 全てのコンサルタントに問題があるとは思わない。文章中にも出てきたが,往々にして問題を起こしやすいコンサルタントは,自社にシステム・インテグレーション組織をもたない独立コンサルタント会社であろう。私的には,コンサルタントの領分,良識に疑問を感じる。

2時10分:真に,「自社にシステム・インテグレーション組織をもたない独立コンサルタント会社」であれば,それほど問題はない。問題を起こすのは,「システム・インテグレーション組織はない,我々は中立的なコンサルタント集団だ」と言いつつ,実際は開発組織を持つコンサルティング会社である。言葉の定義であるが,実際の開発をする人はコンサルタントと呼ばないほうがいいのではないか。

[2002/11/07] 実績のある評論家を求む
 ベストコンサルタントとはどのような役割を持つべきかの問題だと思います。事例にあるような,業務分析/調査のバインダー作成の類は論外です。その会社にとって客観的に批判/助言を行うのがベストコンサルタントでしょう。評論家であっても良いが,実績のある評論家でなくてはいけないと思います。

2時12分:筆者もコンサルタントをそうした方であると考える。

[2002/11/07] 問題の根っこは収益モデル
 コンサルティング業界をよく理解している記事と感心しました。私も9年間,よく記事に取りざたされているコンサルティング会社にいて,実体験を持って,理解しているつもりです。記事にあるような若いコンサルタントを配置する理由は,現在のコンサルタント会社の収益モデルに起因します。つまり,上位のマネジメントは年収数千万円で,その給与をまかなうために,コストの比較的安いコンサルタントとセットでプロジェクト・チームを組むことで,プロジェクトの収益性を確保することが日常的に行われており,これをレバレッジ(てこの原理)と称して,積極的に推奨しています。当然,若いコンサルタントを沢山投入すれば,するほど収益性はあがりますが,副作用として,成果や品質は,薄まります。現在のコンサルティング会社の収益モデルを変えない限り,さらに,事態は悪化する方向にいくと考えます。

2時15分:レバレッジというのは,言い得て妙である。本当に力があるコンサルタントであれば,年収数千万円どころか,もっともらっていいと思う。ただし,レバレッジはいただけない。そういえばソフト会社も,「できる中堅SEと若手」の組み合わせで仕事をしている。ただし金額としては,それほどレバレッジがきいていない。

[2002/11/07] 中心になる人物が重要
 やはり,中心になる人物が沢山の知識がないと,コンサルティング,インテグレータ,ユーザーをまとめきれるものではありません。コストを重視したアウトソーシングとは本当に価値があるのでしょうか?

2時19分:アウトソーシングにもいろいろな形態がある。システム開発と運用を全面的にアウトソーシングすることを指しているのであれば,価値流出である。

[2002/11/07] システム構築は外科手術
 システムとは,組織に情報を配信する血管の配置方法だ。これに手をつけるのは外科手術。コンサルタントはそれを百も承知,かもしれない。危なくない程度にそっとその状況を「バインダー」にまとめて「お大事に」。私の専門は文書と記録の長期管理,いわば組織という「身体」の健康管理とか,老人専門。どうしたら長持ちするか,若いときの注意事項は…。動かないコンピュータを導入する組織は,一時の見てくれのための隆鼻手術を受けているのかも知れない。

2時22分:これも面白い例えである。「他社がいれたらしい」といって,ERPパッケージを入れるのは,まさに隆鼻手術かもしれない。しかも,失敗の確率が高い手術と言える。

[2002/11/05] 身の回りにもバインダー
 この文章のようにいい加減なコンサルタントが多すぎる。パッケージの機能も理解していないで,「バインダー」をおいていく例は,私の周りでも良くきく話である。

2時25分:別な機会に詳しく書きたいが,「まず業務を分析しましょう」と言われたときが注意であろう。既存業務の分析だけでバインダーができてしまう。もっとも顧客自身が自分の業務を分かっていないこともある。

[2002/11/05] 自分のシステムは自分で作る
 情報システム部門の立場から意見を言わせてもらいます。筆者の意見に概ね同感です。私の経験からもコンサルタントへいびつに依存したシステムは成功はしませんでした。やはり我々が中心となって企画,関係調整に汗を長さなければならないと思います。しかしそういう気概やスキルを持った人材を確保,育成することこそ最も困難ではないでしょうか。ここに政治力の必要性を痛感します。

2時29分:ご指摘のように,一番難しく,時間がかかるのは,「気概やスキルを持った人材の確保と育成」である。なにかコメントを書こうと思ったが断念し,今回は「頑張って下さい」とだけ書くことにする。これは,眠くなったからではない。

[2002/11/05] ユーザーとインテグレータが隙を与えた
 少し前なら,インテグレータとエンドユーザーが協力し合って,特にインテグレータ側において業務知識を蓄積しながら仕様定義やら開発やらを進めていた。だが,アウトソーシングにおけるエンドユーザー側のリソース欠如,インテグレータ側の業務知識の欠如から,コンサルティングファームに突き入れられる隙をあたえてしまっている。これが,個人的な感想です。ちなみに私はこれまで,インテグレータ,ハード,ソフトベンダーのそれぞれの立場で営業職を経験してきました。

2時32分:やはり原則は,「自分のシステムは自分で設計する」である。しかしご指摘の通り,顧客側の体制が弱くなっている。「システムの仕事は本業ではないからアウトソーシングすべき」という記事を掲載したメディアは反省すべきである。筆者はこうした記事を書いたことはない。

2時38分:一瞬,居眠りをする。
(続く)

全文は以下のページでご覧ください。
第1部 ~1月24日1時18分
第2部 1月24日1時26分~2時38分(本記事)
第3部 1月24日2時45分~3時24分
第4部 1月24日8時20分~9時15分
第5部 1月24日11時10分~25日18時
第6部 1月25日19時~19時24分
第7部 1月25日22時42分~23時40分

(谷島 宣之=ビズテック局編集委員)