NPO法人の日本はんだ付け協会は、電子機器の製造メーカーにおけるはんだ付け教育の支援に向けて「0201、0402、0603チップはんだ付け教材」を2018年12月17日に発売した(ニュースリリース)。

「0201、0402、0603チップはんだ付け教材」
「0201、0402、0603チップはんだ付け教材」
チップ部品の手付け(手実装)の練習に向けたキットで、入手しにくいとされる0201型の積層セラミックコンデンサーを含め、小型のチップ部品を同梱する(写真:日本はんだ付け協会)
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 チップ部品とは、抵抗やコンデンサー、インダクターなど、小型の角型表面実装部品のことで、JIS規格などによって外形寸法が決まっている。そのため、実装面積にちなんだ通称が使われており、「0201」「0402」「0603」は実装面積がそれぞれ0.2mm×0.1mm、0.4mm×0.2mm、0.6mm×0.3mmの部品を意味する。現在スマートフォンでは0603型や0402型がよく使われており、数年前の時点で「0603型までは手付け可能」と話す職人もいた。0402型は一般人にとっては肉眼での識別すら難しいサイズだ。0201型は一部の小型モジュール部品などに使われているとされるが、それほど普及はしていない。

チップ部品は米粒よりずっと小さい
チップ部品は米粒よりずっと小さい
チップ部品の多くは米粒より小さいが、0402型や0201型は本当に小さく肉眼ではほぼ見えない。筆者が0402型部品が実装されているスマートフォンのメイン基板を見た際、肉眼ではランドしか見えなかった(図:日本はんだ付け協会)
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 チップ部品は、通常は実装機(マウンター)と呼ばれる自動装置で実装する。同協会では製品の試作や改造、修理作業などで手付けする必要が生じるとし、その練習に向けた教材として制作したとする。

 ここ最近、チップ部品の1種である積層セラミックコンデンサー(MLCC)の不足が大きな問題となっている(関連記事「『もうお手上げ』、セラコン不足で増産できない機器メーカー」)。生産数量を確保したいMLCC大手メーカーが、1608(実装面積が1.6mm×0.8mm)型や1005(同1.0mm×0.5mm)型のチップ部品の製造ラインを0603型向けに変更するということもあるようだ。そのため、従来使っていた1608型や1005型といった比較的大きな部品が入手困難となり、やむなく0603型や0402型のチップ部品を使用しなければならなくなった、0603型や0402型の修正・手実装で困っている、といった声が同協会に寄せられるようになり、製品開発のきっかけになったとする。

 0201型については現時点ではあまり出回っていないものの、扱ったことがない技術者も多く、将来的に普及して同様に手付けする必要が生じる可能性が高いため、キットに盛り込んだという。なお、同キットの基板を使って手で0201型を実装する動画も紹介されている(同キットを販売するゴッドはんだの動画紹介ページ)。

 キットには練習用基板1枚と、0201型MLCC、0402型MLCC、0603型チップ抵抗、1005型チップ抵抗、それぞれ40個を同梱する。基板の表裏で放熱パターンが異なっており、各型で4種類の練習パターン(0201型のみ104個分、ほかは各80個分)を用意している。価格は1セット4500円(税別)。