KELK(神奈川県平塚市)は、熱電発電モジュール「KELGEN」(ケルジェン)を搭載した製品のラインアップを拡充する(ニュースリリース)。従来の熱電対センサーデバイス「KSGD-ST」とアナログ入力デバイス「同SA」に加えて、FFT(高速フーリエ変換)解析機能を備えた振動センサーデバイス「同SV3」、センサーデバイスを無線でつなぐ通信機器「KELGEN SD-Net」を2019年10月から販売する(図)。

図:「KSGD-SV3」(左)と「KELGEN SD-Net」(右)
図:「KSGD-SV3」(左)と「KELGEN SD-Net」(右)
(出所:KELK)
[画像のクリックで拡大表示]

 新たに発売する2製品のうちKSGD-SV3は、モーターやギアなどの回転機器に取り付けて振動と温度を計測するデバイス。取得したデータを約20m離れた通信機器へ無線送信できる。

 熱電発電モジュールを搭載するため、稼働には電池も配線も要らない。具体的には、運転で生じる熱により上昇した回転機器の表面温度と、周囲の温度との差を利用して自己発電する。デバイスの受熱側の表面温度と周囲温度の差が10℃(無風状態)あれば稼働できる。従来の振動計測に比べて設置工事費とランニングコストを抑えられる上、短時間で設置・増設できるので、工場や設備のレイアウト変更にも対応させやすい。

 本体と加速度センサー、温度センサーから成り、いずれも0~85℃で動作する。加速度センサーは、加速度(ピーク、実効値)とクレストファクター、オーバーオール値の測定に加えてFFT分析が可能だ。送信頻度は最小で40分ごと(温度差10℃時)、測定範囲は±16G。FFT機能を持たない標準タイプも用意している。

 本体と加速度センサーは、IP67の保護構造を備える。外形寸法は、本体が61×44×25mm、加速度センサーが25.4×25.4×16mm。

 もう1つの新製品KELGEN SD-Netは、計測データのモニタリングに使う通信機器。センサーデバイスと中継器を合わせて最大200台の接続が可能だ。中継器を使うことで、計測データを1km以上離れた場所へ送信できる。

 通信仕様は、2.4GHz帯無線規格IEEE802.15.4に準拠。ネットワークをメッシュ型(通信路固定、最大3経路)として、通信の冗長性と堅牢性を高めた。0~85℃で動作し、保護等級はIP67に適合する。

 これらを利用した予知保全によって、生産現場の生産性向上と日常点検の自動化を図れる。同社は、KELGEN SDと同SD-netを自社工場に導入し、設備機器の見える化と予知保全への活用の評価を進めているという。同社は新製品を「プラントメンテナンスショー」(2019年7月24~26日、東京ビッグサイト)に出展する。