最初に、セミナーやイベントを取り巻く施策を図示してみた。これら施策を成功に導くために、マーケターは、企業は、いったい何をするべきか。そのプロセスでUXはどう生かせるのかを、今号では考えてみた。

企業側とお客さまとの目的をマッチさせる

 まず一般的に、企業がセミナーやイベントを企画する際に何を目的にするのか? そこから得られた情報をどう生かすのか? 目的は、受注である。情報は、営業にそのまま展開し早期受注をめざす、ナーチャリング(見込み客を実顧客化する施策の実施)で機が熟してから営業に共有し確実に受注に結び付ける、営業が受注に向け追い込みを掛ける際に後押しをするなどの生かし方ができる。マーケターはどうしても、自分たちの企画を実現することのみに注力し集客だけを考えがちだが、一方で、実はお客さま一人ひとりきちんとした目的をお持ちだということを忘れてはならない。双方の目的を合わせることをベースに、セミナーやイベントは実施されるべきだ。

オムニチャネルでお客さまは渡り歩く

 セミナーやイベント集客のための各種施策に対し、それを受けるお客さま側の目的や心理にスポットを当てて、UXの必要性と集客プロセスでの取り入れ方、並びにそのプロセスに不可欠なUX要素を洗い出してみよう。オムニチャンネルで、お客さまがさまざまな手段やルートを渡り歩く時代がすでに到来しており、その行動に準じたマーケティング活動は、そのまま受注に直結する。

そもそもセミナーやイベントに参加する目的は?

 目的は、大別すると4つ考えられる。1つめは上長や上司への報告のため。担当レベルだと、上司の指示の場合であれ自発的であれ、レポート作成を視野に資料収集やメモに時間をかける。2つめは、プロジェクトをスタートさせる前の予備調査のため。日程や予算によるが、各社のサービス比較も大切な目的だ。3つめは、業務における日々のテーマや進行中のプロジェクトに取り入れるための情報収集。最後の4つめとして、純粋な知識の蓄積や自己啓発といった自らへの投資も、基本的な目的の一つとして忘れてはいけない。セミナーやイベントでは、これらの目的を意識し、吟味した仕組みや仕掛け、コンテンツの準備を怠らないこと。それが参加するお客さまの経験価値として蓄積され、UXを向上し、ブランド価値も高める。

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