UXはストーリー、デザイン思考は演出

 本コラムシリーズの最後は、これまで議論してきたUXやデザイン思考における今後の方向性と、未来に向けて活用するためのシナリオについて、前後編に分けてお届けしたい。

 まずは、関係者の間でも混同がみられる「UX」と「デザイン思考」について、今一度整理してみよう。そもそもUX自体は総体的な概念や理念であり、デザイン思考はその方法論であるという違いがある。

 UXとは、お客さまのタッチポイント(これまで私が取り組んできた「提案力」「商品力」「品質向上」など)のすべてで、豊かな経験を提供する「ホリスティックエクスペリエンス(全体的な経験)」を前提にしている。そのため、UXに取り組む際に常に考えているのは、そのストーリー性。すなわちシナリオであり、コンテクスト(脈絡)である。

 一方デザイン思考は、UXのストーリーを軸にした外見的な化粧や内面的な個性の創出であり、それらすべてをよりクリアに表現するものだと言える。したがって真のUXを体感させるためには、前回のコラムまでで述べてきた、未来を見据える「仮説構築力」と見やすく分かりやすい「ヴィジュアライゼーション(可視化)」を、デザイン思考に基づき伝えることが必要となる。以下にその関係を整理し図解してみた。

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